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(5)全開ガール [ドラマレビュー]

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『 全開ガール 』
第5回
( 2011年 フジテレビ 公式サイト
演出:谷村政樹 脚本:吉田智子 出演:新垣結衣、錦戸亮

主人公二人は、前回までで互いに対する気持ちを子供たちの指摘によってそれぞれが認識するところとなったわけですが、山田草太(錦戸亮)は鮎川若葉(新垣結衣)のことが好きであることを確実に自覚している一方で、若葉にとってはこの種の感情自体が初体験であり、彼女が草太に対する自分の気持ちをはっきりと自覚するまでにはいくつかの段階を踏まなければなりません。

前回描かれたように、若葉はビー太郎の鋭い指摘を絶対に認めないというスタンスであり、この自分自身の屈強な意思(意外に脆いのだが・・・)を実現するために若葉が見せたのは、仕事に「全開」で打ち込むという姿勢でした。おそらく若葉はこれまでの人生において心かき乱されるような事態に直面したときはこの方法で解決してきたものと思われます。しかし、この種の感情をコントロールしようとすることが簡単ではないことを彼女はまだ知りません。

新堂響一(平山浩行)が山田草太に会議室まで出前を運ばせたのは、草太が若葉をめぐって強力なライバルとなりうることに気が付いているからで、住む世界が違うことを草太に見せつける意図があったと思われます。このとき若葉はそれまでなんとか自分の気持ちをコントロールしていたのに、突如として理屈では説明できない「感情」に支配された行動に駆り立てられてしまいます。若葉は第2話で初めてそれまでの冷静な行動とは真逆の感情に支配された行動をとっていますが、このときは「感謝の気持ちを伝えたい」という目的がしっかりとあって、衝動的ではありましたが「迷い」のようなものは存在しませんでした。今回、その若葉が住む世界が違うことを思い知らされた草太を追いかけて衝動的にエレベーターに乗ってしまうわけですが、そこには目的も理屈も存在せず、あったのは「迷い」と「何らかの感情」でした。

このエレベーターのシーンは、若葉の不器用で繊細な性格が巧みに織り込まれた名シーンだと思います。若葉が草太を追いかけてエレベーターに乗ってしまった理由は何でしょうか。このときの若葉当人にもその理由ははっきりと理解できていないのですが、あえて解釈を試みれば、彼女は直感的に草太に自分と住む世界が違うと思われてしまったことを打ち消したいと思ったはずです。でも、そのことは自分自身がずっと言い続けてきたことだし、草太と会話をしてみると、改めて「自己矛盾」に気がつくのです。

 「はっきり言って目障りです!・・・いや、だから・・・私が言いたいのはそうではなくて・・・」

理屈では説明できない感情、いつの間にか陥ってしまっている自己矛盾、自分の気持ちをどう取り扱えばいいのかという迷い・・・我々はこれを「恋」と呼ぶわけですが、そんなものとは無縁で理詰めで生きてきた若葉にとっては、司法試験以上の難題ということになるのでしょう。

 「私はただ・・・ただ・・・これが何なのか、自分の気持ちを確かめたくて・・・」

自分の気持ちがどこから来るものなのかを確かめたくて、草太に直接ぶつかっていこうとするところが若葉らしい真っ直ぐさというものでしょう。草太がその答えを教えられようはずもないのに。つまり、若葉は第三者のビー太郎によってこの種の感情の存在を指摘されている以上、あとは彼女自身が自力で自分の気持ちを自覚するしかないのです。そのためのシチュエーションがスイカ割だったというのはすごい着想だと思うのですが、その季節感はもちろん、目隠し、プレッシャー、子供たちのガヤなど、若葉に「自覚」を強要する状況としては、実はよくよく考えられたシーンなのかもしれません。

とうわけで、主人公二人の相思相愛が確定したのが今回だったと言ってもいいでしょう。しかし、二人の間にはいまだ様々障害が存在しています。それぞれに思いを寄せる新堂響一(平山浩行)と汐田そよ子(蓮佛美沙子)の存在、さらに草太には前妻・リリカとの関係が浮上し、若葉には自分の将来の目標とどう折り合いをつけるかという課題も残ります。そしてなにより若葉と草太が自分の気持ちを互いに素直に伝えられるかが最難関であり、最も重要な要素であることは言うまでもありません。

前回の演出についてエンディングテーマの使い方を絶賛したのですが、それ以外の部分ではちょっと物足りない印象を覚えていて、今週は打って変わってこのドラマらしい演出が戻ってきたことを喜んで観ていました。私はエンドクレジットを見るまで今週の演出は武内英樹監督だと勝手に思い込んで観ていたんですけど、実際には谷村政樹監督でした。若葉の目を光らせたり、だんご虫のCGを登場させたり、失恋した林佐間男(荒川良々)を石化させたりといったビジュアル的演出のほか、効果音の使い方なども大変巧みで、これらはもはやこのドラマならでは演出ということになるでしょう。どちらかと言えば過剰な演出なのかもしれませんが、違和感なく観ていられるのは武内英樹監督が第1話と第2話でこのドラマの路線をしっかりと固めてくれたからで、谷村政樹監督も思う存分やってくれているといったところでしょうか。また、今週もエンディングテーマのイントロの使い方で、リリカの登場を盛り上げてくれました。

リリカって若葉とは真逆の女なんだろうなぁ・・・。

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