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(2)空飛ぶ広報室 [ドラマレビュー]

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『 空飛ぶ広報室 』
第2回
( 2013年 TBS 日曜21時

演出・プロデュース:土井裕泰 脚本:野木亜紀子 出演:新垣結衣、綾野剛、柴田恭兵

今日は本作の「職業もの」としての側面に触れておきたいと思います。
本作はその名のとおり、航空自衛隊の職制を描くことがメインとなっていて、
今回も各自衛隊組織を表現する四字熟語の提示やラストチャンスエリアの説明などによって、
自衛隊の広報ドラマとしての機能は十分すぎるほどのものとなっています。
その意味では冒頭の報道記者会見のシミュレーションシーンなども興味深いエピソードだったし、
同時にこのシーンは稲葉リカ(新垣結衣)の報道記者に対する強い執着を表現するシーンにもなっていました。
私がこのドラマに惹かれる理由は、このシーンに代表されるような二つの異業種の絡みにあると思っていて、
そのことは当然、メインキャラクター二人の関係性の面白さ、奥深さにも直結しているわけです。

たとえば、空井大祐(綾野剛)がリカにラストチャンスエリアを説明するシーンでは、一機の航空機に関わるすべての自衛官が
「運が悪い」では済まない緊張感のある厳しい仕事に従事しているということが提示されています。
この「運が悪い」というキーワードは、序盤にリカが報道記者でいられなくなった理由を空井に釈明するシーンでも登場していて、
リカは空井の説明を聞きながら自分が置かれている境遇を運だけのせいにしている自らの姿勢に初めて疑念を持ちます。
さらにこれが不可抗力の交通事故という究極の「運の悪さ」によって夢を絶たれた空井の口から説明されたことに
大きな意味があったということは言うまでもないと思います。
また、自衛隊を揶揄する四字熟語を説明するシーンでは、
記者会のことを「浅学非才 馬鹿丸出し」として、皮肉を皮肉で説得力を持たせるようなまとめ方がなされていました。
つまり後のシーンでリカが空井の前で流す涙は、自衛隊という特殊な組織を表現するこれらのエピソードの上に成立しています。

情報番組のディレクターとしてのリカの職域に自衛官としての空井が飛び込むエピソードもありました。
プレゼンのためにテレビ局を訪れた空井は、たまたまリカが作ったグルメリポートをプレビューで視聴し、そのお店に
ナポリタンを食べに行きます。彼がその時の様子を受け手の視点でリカに説明したことがVTRを作り直すモチベーションとなり、
リカの「なにもわかっていませんでした・・・わかろうともしなかった・・・」という台詞に繋がっていくわけです。
ただのやっつけ仕事としか考えていなかったグルメリポートが何かを伝えられる素材であることに気がついた瞬間です。
さらにリカは自分の不甲斐なさを痛感し、自分が置かれている境遇を受け入れ、仕事に対する向き合い方を転換させるのです。
そのことを語るリカの隣で彼女一人では食べきれないだろう大盛のナポリタンを黙々と口に運ぶ空井の優しさが沁みてきます。
これが今回のベストシーンですね。言うまでもなくこのシーンは空井が涙を流した前回のシーンと対になっていて、
これで二人の関係は仕事を超えた一人の人間同士としてまさに同じ目線となり、さあ、いよいよ・・・と言ったところでしょうか。

それとリカがテレビ局に戻って以降、情報番組の生本番中の描写がかなりリアルだったということも指摘しておきます。
まず、本番が始まってからVTRが搬入されるなんてことは日常茶飯事だったし、
ナレーション入れが間に合わなかったり、差し替えによって急遽生読みになることもしばしばありました。
また生本番中のサブの雰囲気もよかった。キュー卓の夙川アトムさんはさすがでしたね。
チーフディレクター役の生瀬勝久さんも完璧な役作りで、グルメリポートのレジェンドぶりがしっかりと伝わってきました。
「街角グルメの仙人」という称号を持ち、毎日ロンロン茶を飲む阿久津に対する尊敬の念が芽生えた時、
「なにもわかろうとしていなかった」リカの目の前に新しい世界が開けました。

ラストシーンについても触れておくと、当回で描いたいくつものエピソードの集大成、まとめの役割を見事に果たしていました。
リカが空井に懇親会への参加を願い出たのは彼女の「わかろうとする姿勢」への転換を象徴するものだし、
二人の会話を元・パイロットと元・報道記者という対等なものに仕立てることによって二人の将来への価値観は共有されました。
さらに演出的にも二人の立場を同じ目線にする仕掛けがしっかりと施されていました。
将来に対する希望を見出したリカと空井は、それぞれがこれまでに見せたことのない魅力的な表情を垣間見せるのです。

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左のショットは自衛隊をもっと知ってくださいと語る空井に対して素直にうなずくリカの表情です。
空井は今まで見たことがなかったこの瞬間のリカの表情に思わず魅せられてしまうのです。
本作中、リカが笑顔を見せたシーンはなかったわけではありませんが、この笑顔はそれらとはまったく別の引き出しから
出たものなんですよね。新垣結衣が計算でこの表情をここまで封印していたとしたら大した女優さんです。
そして、右のショットは飛行機は前にしか進めないと語る空井の前向きな笑顔に思わず魅せられるリカの表情です。
つまり、これで「行って来い」となり、二人の関係は仕事上もプライベートでも、あらゆる意味で対等になったわけです。

映像表現においては登場人物が直面するストーリー上重大な心理的ポイントを「瞬間」で抑えておくことが
とても重要だということには、これまでも様々な作品のレビューで言及してきました。
私はそのようなセオリーをしっかりと外さない土井演出を高く評価しています。
主題歌のイントロ導入のタイミングもドンピシャでしたね。
このラストシーンは、このドラマが好きという私の気持ちを再確認させてくれるシーンに仕上がっていました。

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