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10月期ドラマ期待度ランキング [ドラマプレビュー]

恒例の期待度ランキング。今回からちょっと趣向を変えて各ドラマの期待度を以下の4段階で評価してみました。

 ★★★ : 絶対観る / ★★☆ : 観る / ★☆☆ : 観ない / ☆☆☆ : なかったことにしたい

Pre-ratingTime SlotTitleStationMain CastScriptChief-Dir.Co-Pro.
★★★金22専業主婦探偵TBS深田恭子、藤木直人中園ミホ金子文紀 
★★★木22蜜の味フジテレビ榮倉奈々、菅野美穂大石静水田成英
★★★日21僕とスターの99日フジテレビ西島秀俊、キム・テヒ武田有起国本雅広ケイファクトリー
★★☆月21私が恋愛できない理由フジテレビ香里奈、吉高由里子山崎宇子石井祐介
★★☆木21HUNTER関西テレビ米倉涼子、谷原章介伴一彦村上正典共同テレビ
★☆☆火21謎解きはディナーのあとでフジテレビ櫻井翔、北川景子黒岩勉土方政人共同テレビ
★☆☆木21ランナウェイTBS市原隼人羽原大介石井康晴ドリマックス
★☆☆水22家政婦のミタ日本テレビ松嶋菜々子遊川和彦猪股隆一5年D組
☆☆☆土21妖怪人間ベム日本テレビ亀梨和也西田征史狩山俊輔TMC
☆☆☆日21南極大陸TBS木村拓哉いずみ吉紘福澤克雄 
※ タイトルは各ドラマの公式サイトにリンクしています。※ 作品名を一部省略して表記しているものがある。
※ 脚本担当者が複数いる作品については 、トップクレジットを表記している。

『専業主婦探偵~私はシャドウ』は、なんとなくピンときました。
あまり根拠はありません。直感で
面白そうだと思いました。
強いて言えば、中園ミホさんの作品を久しぶりにちゃんと見てみたいという思いがあります。
TBSの金曜22時枠を観るのはいつ以来だろうか。
調べてみたらなんと『セーラー服と機関銃』(2006年)以来で、
その前は『ドラゴン桜』(2005年)、『ブラックジャックによろしく』(2003年)とさかのぼるから、
いかにTBSのドラマなんかちゃんと観てこなかったかがバレますね(^^;。

『蜜の味~A Taste of Honey~』は、なんと言っても大石静さんの脚本に注目です。
作品の概要を見れば『セカンドバージン』(NHK)と印象が重なる方も多いでしょう。
連作というイメージで観てみるのも面白いかもしれません。

『僕とスターの99日』は、韓国の女優さんっていうのがすごく興味があります。
正直言って韓国ドラマには全然ついていけないんですけど、
韓国の俳優さんが日本の監督の元でお芝居したらどうなるのか楽しみです。
国本雅広監督はベテランのディレクターで、最近作は『デカワンコ』(日本テレビ)、
映画では『おにいちゃんのハナビ』(2010年)を手がけられています。
私はキム・テヒさんという女優さんをまったく存じ上げないのですが、写真を見てとてもキレイな方だと思いました。

『私が恋愛できない理由』は、月9だから観るというだけで、消極的な感じです。
ここまでズバリ女性にターゲットを絞られてしまうと、男の私には疎外感を禁じえません。
せめて好きな女優さんが出てればよかったんですけど、香里奈ちゃんには全然興味がないという・・・
嫌いなわけじゃないんですよ。お芝居もそこそこしっかりしているし、とてもかわいらしい子だと思います。
でも、興味がないという・・・。あとは石井祐介監督の初チーフ作品ですので、見届けておこうと思います。

『HUNTER~その女たち、賞金稼ぎ~』は、伴一彦先生の脚本だから観ます。
最近の共同テレビのドラマは全然面白いと思わないので、
それだけで観ない理由になるのですが、伴先生の作品だから観ます。
それと米倉涼子さんをお台場で目撃したことがあります。すごいキレイでした。だから観ます(^^;。

『謎解きはディナーのあとで』は、共同テレビだから観ないのと、
お二人のファンには申し訳ないですけど、私は主演のお二人のお芝居をまったく評価していません。
キャストを見たときには鼻で笑ったぐらいです。よりによってこの二人をくっつけるかー。
どちらか一方でも別の俳優さんだったらまだ見る気になったかもしれませんけど。
これはあくまでも私的見解なのでご了承を。彼らのお芝居を高く評価している人だってきっとたくさんいることでしょう。

TBSの日曜21時は、放送事故が起こって、そこだけ電波が止まるか、スクランブルがかかって欲しいぐらいなのですが、
私はもう来年1月、次々クールに放送予定の『運命の人』を見据えています。
山崎豊子さんの原作を本木雅弘さん、松たか子さん、真木よう子さんのキャストでドラマ化します。
TBSはこちらを開局60周年記念番組にすればよかったのに、
フジテレビの名作映画のリメイクを会社の看板にしちゃうんですから、本当に不思議なテレビ局です。
『運命の人』についての詳細はこちらを。http://www.tbs.co.jp/unmeinohito/

上記以外の作品としては、
塚原卜伝』(NHK BSプレミアム、日曜18:45~)、
神様の女房』(NHK、土曜21:00~)、『使命と魂のリミット』(NHK、土曜21:00~)、
DOCTORS 最強の名医』(テレビ朝日=アズバーズ、木曜21:00~)を観る予定です。

今クールは、レビューを執筆する予定のドラマはありません。
初回を観てどうしても書きたいと思わせるドラマがあれば別なんですけど、
改めて映画のレビューをじっくり書いていきたいという事情もあります。
ドラマについてはその分、Twitterで積極的に感想を述べていこうと思います。
ブログにも反映させていきますので、よろしくお願いします。


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believe - 山口由子 [音楽]


山口由子
『 believe 』
作詞:山口由子、Jim Steele 作曲:山口由子 編曲:武部聡志
( 1999年2
月26日 / マーキュリー・ミュージックエンタテインメント )
          Official / Wikipedia  Words          

北川悦吏子さんは、1990年代から十数年間にわたって次々と高視聴率ドラマを生み出して一世を風靡したヒットメーカーで、
日本を代表する脚本家のひとりです(した)。私が氏の作品の中で大好きな作品をあげるとすれば、次の3作品になります。

 『ズンドコベロンチョ』(1991年 フジテレビ)
『Over Time-オーバー・タイム』(1999年 フジテレビ)
『Love Story』(2001年 TBS)

『Love Story』は、主人公二人の丁々発止の掛け合いが見事で、大変印象に残っている作品ですが、
主演のお二人の魅力的なお芝居が果たす役割もとても大きかったような気がします。
中山美穂さんは正直で天真爛漫で、駆け引きができない恋愛下手の編集者がはまっていたし、
豊川悦司さんは変わり者の小説家の役で、『愛していると言ってくれ』(1995年)以来のイメージを刷新しました。

純粋にストーリーのみを振り返ると、『Over Time-オーバー・タイム』というドラマは、
いまだに胸を締め付けるものがあって、北川作品の中で一番好きな作品はこれかもしれません。
今作
は「男女の友情」というテーマに真っ向から取り組んだ作品で、月9の歴史の中でも異彩を放っています。
その印象には演出の素晴らしさが大きく貢献しているのは間違いないところで、
寒々しくて静かな冬のトーンを切り取った映像表現によって、季節感とストーリーを見事にシンクロさせ、
主人公二人の思い通りにならない心情の切なさを巧みに描いており、フジテレビのドラマの中でも屈指の名演出だと思います。
このドラマのタイトルバックの美しさは、それを象徴するかのようなクオリティであり、
これまで観てきたドラマの中で、私の一番好きなタイトルバックがこれです。

(ブッキー出てたっけ!?)

このドラマのチーフディレクターだった武内英樹監督は、
フジテレビドラマ班の2大巨匠・河毛俊作監督と永山耕三監督の下でADを務めていた方で、
なんと言っても初チーフ作品、『神様、もう少しだけ』(1998年)の映像センスは衝撃的でした。
(私はこのドラマのロケを見学したことがあります。ただ、その回の演出は田島大輔監督でした。)
その後は今作を経て、『のだめカンタービレ』(2005年)で新境地を開拓、『全開ガール』(2011年)へとつながっていきます。
武内英樹監督は、名実ともに現在のフジテレビを背負って立つドラマ監督の一人と言っていいでしょう。

また、『オーバー・タイム』の演出を語るときは、音楽の存在も見逃せません。
本作の音楽を手がけた武部聡志さんは、もともとユーミンや今井美樹さんらとお仕事をしてきた音楽プロデューサーです。
劇伴作曲家としては『ビーチボーイズ』(1997年)がデビュー作で、このサントラがすごく売れたんですね。
実際、印象的な曲が多かったし、挿入歌『Sing a love song for me』を覚えておられる方は多いと思います。

この曲を歌っていたのが山口由子さんで、クセのない歌い方と澄んだ歌声は、挿入歌にぴったりでした。
そして『オーバー・タイム』にあっても武部聡志さんの音楽と山口由子さんの歌声は欠くべからざる要素となりました。
夏にぴったりの艶やかで伸びやかな歌声が、一転して情感を含んだ乾いた歌声に聞こえてしまうのは、
もちろん山口由子さんの表現力によるところでもありますが、武部聡志さんのアレンジの奥深さでもあると思います。
『オーバー・タイム』というドラマが表現しようとした「季節感」は、音楽の存在なくして表現できなかったはずです。
最終回のラストシーンでもこの「believe」という曲が効果的に使用されています。ご確認ください。

やっぱり武内演出最高ですね。そして「後ろ姿」というキーワードとまとめ方は北川脚本らしいものでした。

武部聡志さんはこのドラマのあと、
音楽プロデューサーとしては一青窈さんをプロデュースして名曲「ハナミズキ」などを生み出し、
劇伴作曲家としては『コクリコ坂から』(2011年)に至るわけですから、その才能と実力は誰もが認めるところとなりました。
歌声を引き立てるアレンジと、ストーリー・映像を引き立てる劇伴・・・どちらも決して自己主張してはならない。
名作の陰に名作曲家ありですね。


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(11)全開ガール [ドラマレビュー]

2011071401.jpg

『 全開ガール 』
最終回
( 2011年 フジテレビ 公式サイト
演出:武内英樹 脚本:吉田智子 出演:新垣結衣、錦戸亮、平山浩行、蓮佛美沙子、薬師丸ひろ子

鮎川若葉(新垣結衣)という稀有な主人公を説明しようとするときには、彼女の「価値観」と「生き方」を区別して考える必要があると思います。ここで言う価値観とは、彼女の生き方の背景にはなりうるものですが、必ずしも彼女の生き方そのものを定義するものではありません。若葉のどこが「全開ガール」なんだという意見があるようですが、そう思ってしまうのは、若葉の価値観のぶれを生き方のぶれと混同しているからで、これは若葉が自分の信じてきた価値観を前に迷ったり悩んだりする姿を表面的に捉えた意見に過ぎません。つまり、価値観が変わったからと言って、彼女の生き方そのものが変わるわけではないし、彼女にとっては自分の生き方を変えられるほど重要な価値観などこの世の中にはどこにも存在していないのです。いかなる価値観に支配されていようとも何事にも全力で取り組むという生き方だけは変えないところが若葉が「全開」たる所以であり、言うまでもなくそれこそが主人公最大の魅力だと私は解釈しています。

そのことを証明するかのように最終回では若葉の「ぶれない生き方」が巧みに描かれていたと思います。桜川昇子(薬師丸ひろ子)の追い落としを画策する新堂響一(平山浩行)に対して、若葉は最後まで翻意を促そうとしていたし、その新堂が桜川昇子の前に敗北したときも、新堂と一生添い遂げることを何の迷いもなく毅然と口にします。彼女がこれまで信じてきたお金と法律は絶対だとする価値観は、第8話と第9話のエピソードをもって完全に打ち砕かれてしまっているわけですが、だからといって一度決めたことは最後までやり遂げるという彼女の生き方がぶれることはなかったのです。だとすると、若葉が山田草太(錦戸亮)の胸に堂々と飛び込むためには、ひとつには新堂が自ら身を引くという外部条件が必須ですが、実際に新堂がそれを決意した背景には、挫折した自分をも見放さなかった若葉のまっすぐな生き方が彼には眩しすぎたということがあったかもしれません。今回の一件に代表されるように新堂の生き方とは決してまっすぐなものとは言えませんでしたから、若葉のまっすぐさに自分が応えられるのか、若葉を一番幸せにできるのが本当に自分なのか、その答えが出るまでにはそんなに時間はかからなかったでしょう。

一方で、若葉の立場からすれば、新堂が身を引いたからといって、素直にそれを受け入れるわけにはいかないということはすでに述べたとおりで、彼女自身が納得して堂々と草太の胸に飛び込むためには、さらに自分の中で自らの「生き方」と「実際の行動」に整合性をつける必要がありました。それを象徴しているのがチビ若葉(柳町夏花)が提示した「自己に問え」という墨書きであり、チビ若葉(=若葉の初心・根っこ)が若葉に再考を促したこととは、若葉が信じてきた価値観、選択してきた価値観の過ちを認めた上で、別の方向に向かって自分の生き方を貫くことは決して悪いことではないということです。ウェディングドレスを着た若葉が「親友」である桜川日向(谷花音)に「一番大切な人は?」と問われたとき、自分の生き方を貫くべき方向性は疑いようのないものになります。そこに身を引いた新堂からの電話がかかってくれば、もう若葉が進むべき道は決定的です。地味ですけど、このあたりの若葉の心情の変化を追いかけるときの順の踏み方というのは、大変緻密な計算が存在するところだと思います。

そして、私が最も感心しているのが、草太と結ばれた若葉が桜川法律事務所を辞めたことで、これはすなわち若葉が自身で選び、信じてきた価値観が彼女の初心からは逸れてしまっていたことを認め、自分の生き方の方向性を修正しようとする姿勢を端的に表現したものだと思います。若葉が桜川事務所に残留したとしても、視聴者はそれほど違和感を感じなかったかもしれませんが、上記のような緻密な計算を巡らせている作り手にとっては、これは絶対に譲れない描写だったと考えられます。高報酬が望める特許訴訟を担当して「マンハッタンの鷹」を目指すことに対して、もはや若葉は何の価値も見出せなくなりました。チビ若葉に指摘されて初心に還った若葉が弁護士として進むべき道は、法律を駆使して弱者を助ける「マチベン」だったのです。地味な紺のスーツに身を包み、ヒールが折れるほどに靴を履きつぶして仕事に向かう若葉の姿はとても生き生きしたものでした。その後の若葉のことを気にかけているはずの桜川昇子が裁判所の前で若葉とすれ違ったとき、目も合わさずに颯爽と歩いて行ったその姿は、「あなたと私は生きる道は違っても何事にも全力で取り組む生き方は同じ、対等な弁護士なのよ」、と若葉に語りかけているような気がしました。「生きる道」が違うことを象徴するかのように靴のヒールが折れている若葉は颯爽とはいかないけれど、二人の「生き方」はちゃんと重なっているのです。

私は若葉の「生き方」を掘り下げることはこのドラマを総括することにもなると考えています。したがって、本作の脚本およびストーリーについての考察は以上にしたいと思います。若葉と草太が互いにプロポーズする結婚式のシーンとル・シャトウのラストシーンについては、あまり細かいことを言わないで、ありのままを堪能するのが一番だと思います。どうか皆様の心に届いたそれぞれの感動を大事にしてください。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

このレビューでは、脚本と演出を中心に作品を掘り下げてきましたが、本作の成功を決定付けたもうひとつの重要な要素にも触れておかなければなりません。ふたを開けてみれば、主演のお二人は、この種のラブストーリーを作るとしたら、おそらく今現在で最高のキャスティングだったと言ってもいいでしょう。俳優さんには確実に「旬」というものがあって、人気と実力がぴったり重なる期間というのは決して長いものではありません。お二人の人気と実力は今がピークで、あとは下降線を辿るということを言いたいのではなくて、今現在の彼らの人気と実力でこそできる作品というものが必ずあって、それこそが本作だったということです。少し話はそれますが、私は昨年の春にフジテレビで放送された上野樹里ちゃんと瑛太くん主演の『素直になれなくて』の出来を心の底から残念に思っています。このお二人がラブストーリーで競演できる機会はあれが最初で最後のチャンスだったと言っても過言ではないからです。あのドラマの作り手は、あの時点で最高に「旬」のキャスティングを台無しにしてしまいました。

私は新垣結衣という女優は決して器用なタイプの女優さんではないと思っていて、初めての本格的ラブコメディにも難なく対応できましたというわけにはいかなかったはずです。この鮎川若葉という役柄については、彼女のキャリアの中でも最も苦戦したのではないかと想像しています。そういう意味では、彼女の実力はピークではなかったのかもしれませんが、このドラマを通じて彼女が女優として成長していくのが手に取るようにわかったし、最終的に若葉というキャラクターをしっかりと完成させたという意味では、このドラマの中にこそピークがあったかもしれません。

第1話のレビューでも触れたとおり、チーフディレクターの武内英樹監督は主人公を動かすことでキャラクターを表現しようとしており、この点はコメディ要素につながってくる部分ではありますが、ラストシーンの酔っ払いのお芝居に代表されるように、彼女のこれまでのイメージを考えれば割合うまく対応しているなという印象で見ていました。それよりもこの時点では全然想像できなかったことですが、鮎川若葉の複雑で奥行きのある人物設定に対応する方がよっぽど苦労したのではないかと想像しています。本作最大の特徴と言ってもいいのが、若葉の生い立ちを見せるシーンを多数盛り込んでいる点で、それら過去の描写というものが彼女が演じる今の若葉に直結してこなければなりません。一般的には、監督あるいは自らが想像することで作り上げていく、または場合によっては視聴者の想像力を借りてキャラクターを見せていくという、ある種の「曖昧さ」があるのが役作りであり、この場合、生い立ちというものは「解釈」の領域だと思うのです。しかし、本作の場合、その「生い立ち」が本に全部書いてあると言ってもよく、「今の若葉」には「小学生の若葉」との整合性が求められるばかりでなく、役柄の生い立ちを根底にした将来に対する考え方までもが一貫していなければならなかったはずです。長く女優という仕事をやっていても、ここまで過去・現在・未来の連続性を強く意識しながら役柄を演じる機会はそうあるものではないと思います。ちょっと大げさに言えば大河ドラマや朝ドラの主演ぐらいでしか経験できないことをこのドラマで経験したのであって、そのことは彼女のキャリアにとっては大変幸運なことだったのではないでしょうか。

新垣結衣ちゃんが鮎川若葉を演じることで到達した「成果」が端的に感じられるシーンが最終回にありましたので紹介しておきたいと思います。私は第9話のラストカットに代表されるように彼女が一瞬の表情で役柄の心情を表現できるようになったことをこのドラマを通じて実感していたのですが、今回見せた若葉の表情は一瞬というよりも「一連の表情」とでも言うべきものであり、若葉を演じるにあたって画面に映っていない部分で彼女がどれだけの努力をしてきたのかが伝わってくるような素晴らしい表情のお芝居でした。

若葉が桜川昇子に退職願を出すシーンは、若葉が部屋に入ってくる瞬間から「おっ!」と思わせるものがありました。改めて申し上げますと、本作には二つの流れがあって、当然のことながらひとつは若葉と草太の恋であり、もうひとつは若葉の人間的成長だったと考えられます。私は若葉の人間的成長の集大成となっているのがこのシーンだと思っていて、若葉にとっては事務所を辞めることよりも自分のことを誰よりも理解し、見守ってくれていた桜川昇子との決別の方が重要だったと考えられます。このシーンでは、昇子のもとを卒業し、新しい道を自分ひとりで切り開いていこうとする強い決意と、昇子とは別の道を歩むことを選択した寂しさ、さらには昇子への感謝の気持ちを同居させた複雑なお芝居が要求されたと思います。退職願を出した若葉に対して、昇子は一考した後にいつもの調子で答えます。

 「ちょうどよかった。産休のシッターも帰ってきたし、あなたの代わりならいくらでもいる」
「よかったです。日向さんにも先生にもいい加減辟易としていたので」
「褒め言葉と受け取っておくわね」

このような会話は何度となく二人の間で交わされてきたものであり、若葉が事務所を辞めることで完全に失われてしまうものです。そして、当然のことながら二人ともにそのことを実感しており、若葉も昇子も共通の想いを噛み締めながら口に出した言葉だと思います。この時の新垣結衣ちゃんの表情のお芝居が本当にすばらしい。口をつく言葉は憎まれ口であり、強がりなのに、その目にはしっかりと「寂しさ」が浮かんでいるのです。さらに最後となるこの種の会話を楽しんでいるかのように微妙に頬を緩めてもいます。

 「短い間でしたが、先生には本当に・・・」
「まだ何か?」
                  2011092401.jpg

この昇子の最後の言葉は、第1話で若葉と昇子が初めて会ったときに印象的に使われていた台詞であり、若葉の心中に去来したものは昇子とともに仕事をした日々だったに違いありません。私が高く評価しているのは、これらの若葉の複雑な心情というものが部屋に入ってきたときからすでに出来上がっていて、このシーンを通じて彼女が内なる感情を徐々に高めていっている点です。このあたりは薬師丸ひろ子さんのアシストも多分に感じられる部分ではありますが、いずれにしろ私としては本作中もっとも魅力的な若葉の表情を挙げろと言われれば、迷わずこのシーンを挙げるでしょう。

この一連のシーンで見せる結衣ちゃんの表情のお芝居の素晴らしさを1枚で伝えられる画像がなかなかキャプチャできなかったので、皆様にはぜひ結衣ちゃんの表情に注目してこのシーンを再度見直していただきたいと思います。上の画像は、若葉が深々とお辞儀をした後、彼女に微笑みかける昇子の顔を見た直後の表情です。私があえて1枚に決めるとすれば、これかなという表情です。ただ、どうか彼女がこの作品を通じて作り上げた鮎川若葉というキャラクターの集大成をもう一度しっかりと見届けてあげてください。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

プレビューに書いたとおり、私は放送が始まる以前はこのドラマに多くを期待していませんでした。しかし、第1話において武内英樹監督が見せてくれたテンポのいい演出が心地よく、いっぺんにこのドラマに魅せられてしまいました。そして魅力的な主人公と魅力的なストーリーを目の当たりにするにつれて、レビューにも自然と力が入っていきました。そのことはここまでレビューを読んでいただいている皆様にも伝わっていることだと思います。私はこのドラマに「全力」で向きあいました。それはスタッフと出演者がこのドラマに「全力」で取り組んでいることが伝わってきたからです。私はレビューを書くことで作り手がこのドラマにかける思いを知ることができたと思っています。もしかしたら一方的なものなのかもしれませんが、これからも作り手の想いを知りたい、近づきたいと思えるドラマに出会えることを願っています。

関連記事 : (10)全開ガール (2011-09-17)
(9)全開ガール (2011-09-10)
(8)全開ガール (2011-09-02)
(7)全開ガール (2011-08-24)
(6)全開ガール (2011-08-19)
(5)全開ガール (2011-08-13)
(4)全開ガール (2011-08-07)
(3)全開ガール (2011-07-27)
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(1)全開ガール (2011-07-15)


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Twitter 20110922 [Twitter]

  • e97h0017e97h0017世の中の多くの人は多くの場面で共感を求めているのだろうか。他人の相容れない意見を覆したいと考えている人が大部分なんだろうか。それが身近にいる人の意見ならばまだわかるが、ネット上の意見にいちいち反駁するという行為は私は不毛だと思う。そういう意見もあるということを認めればいいだけだ。09/21 20:27
  • e97h0017e97h0017共感する意見に対してはその気持ちを表明するのもいいだろう。しかし自分の意見がまったく別の場所で見ず知らずの人間の意見にすり替わっているのを目の当たりにするのはあまり気分のいいものではない。反駁に使われていればなおさらだ。実体の見えない人間の行為をどう咀嚼していいのか戸惑っている。09/21 20:51

DESTINY - MY LITTLE LOVER [音楽]


MY LITTLE LOVER
『 DESTINY 』
作詞・作曲・編曲:小林武史
( 1998年5
月13日 / トイズファクトリー )
          Official / Wikipedia  Words          

「hata」さんと「てるてる坊主」さんですね(^^)。
思えば、伴一彦先生と竹野内豊さんのコンビはここから始まりました。
この12年後に『流れ星』という名作が誕生したのかと思うと、感慨深いものがあります。

『WITH LOVE』というドラマが放送された1998年は、
それまでビジネスマンが主たるユーザーだった携帯電話が
一般に広く普及し始めた時期で、
私自身、この頃に初めて携帯電話を持ちました。ちなみに機種はP153だったなぁ。
同時にパソコンも一般家庭に普及し始め、ADSL回線の浸透とともにネットユーザーも爆発的に増えました。
私がブログ的なことを始めたのもこの時期で、当時のプロバイダはブログサービスなんてやってなくて、
テンプレートもありませんでしたから、HTMLを使って一から自力で作ってました。暇だったんですね(^^;。
当時の「メール」といえば、携帯電話ではなくてPCを使ってやりとりするメールのことを指し、
「電子メール」とか「Eメール」といった言葉が流行語になった時代でもあります。

そういう時代背景のもと、電子メールのやりとりから始まる恋愛を描いたのがこのドラマです。
竹野内豊さん演じる作曲家が送った1通のメールが送信先を誤っていて、
それを受け取った田中美里さん演じる普通のOLさんが、
添付された音楽ファイルの美しい響きに心奪われてしまうところから物語は始まります

竹野内豊さんは『ビーチボーイズ』(1997年)でブレイクした直後だったし、
田中美里さんは朝の連続テレビ小説『あぐり』主演ののち、初の連続ドラマで、
出演者だけを見ると、いかにもフジテレビらしいキャスティング先行のドラマでした。主演以外のキャスティングも興味深いです。
及川光博さんなんて今でこそちゃんと「相棒」やってますけど、この当時はちょっと
胡散臭いミュージシャン(失礼^^;)で、
今で言えばDAIGOみたいなポジションだったんですから、衝撃的なキャスティングでした。
このあと同じく喜多麗子さんプロデュースの『氷の世界』(1999年)に出演し、俳優の地位を確立することになります。
他にも藤原紀香さんは女優業を本格的に始めた時期だったし(竹野内さんとの2ショットは当時理想的な美男美女の絵だった)、
渋いところでは田山涼成さんがステレオタイプな中間管理職の役をやり始めたのはこのドラマからだったような気がします。

このドラマをプロデュースした喜多麗子さんは、
フジテレビの2大敏腕ドラマプロデューサー・大多亮氏と亀山千広氏から薫陶を受けた方で、
いわゆるトレンディドラマの系譜を直接受け継いだ最後の世代にあたるプロデューサーです。

今作は時流にのりつつも、トレンディドラマ的なクラシカルな手法をしっかりと踏襲しており、
古き良き時代のフジテレビのドラマらしさを色濃く残した王道のラブストーリーでした。
喜多さんは当時野沢尚さんとの仕事が多かったのですが、
それ以外のオリジナル作品としてはこれが最高傑作ではないかと感じています。

この当時のドラマが持つ最大の特性は主題歌を聴けばドラマの映像が浮かぶということで、
やっぱり「DESTINY」=「WITH LOVE」なんですよね。
個人的にはこの当時というのは、テレビドラマをコマ送りで観ていた時代でして、
割といろんなシーンが記憶に刻まれている作品ではありますが、音楽が呼び起こす記憶の方が鮮烈だったりします。
ベタだけど、美里さんがウェディングドレス着て新宿の街を走ってたよなぁ・・・。
間違いメールに添付された曲を作ったのが竹野内さんだということがわかって、
美里さんがミッチーをおいて結婚式場から飛び出していくんですよね。
その後仕事でパリへと旅立った竹野内さんと本格的に「愛を込めた」メールのやりとりが始まるところでドラマは終わります。
セーヌ川の河岸でPDAを使ってメールを打つ竹野内さんのラストカットは斬新でした。
本当の意味での「WITH LOVE」がここから始まるという・・・曲と共に清々しい余韻がよみがえります。

こういうドラマを思い出すにつけ、テレビドラマは「時代」というものを映していかなければならないと思います。
主題歌を聴いてドラマの一場面がふっと思い浮かび、そのとき自分がどこで何をしていたのかを思い出す・・・。
それこそが理想的なテレビドラマのあり方ではないでしょうか。
ただし、ただ時流や流行ものに乗っかればいいと言うものではありません。
当然のことですが、クオリティを伴わないドラマにその資格はないのです。
果たして「婚活」や「ツイッター」をテーマにしたドラマを10年後に思い出すことがあるでしょうか。


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