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もう一度君に、プロポーズ [ドラマレビュー]

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『 もう一度君に、プロポーズ 』
( 2012年 TBS=共同テレビ 全10回 )
演出:村上正典 脚本:桐野世樹 出演:竹野内豊、和久井映見、山本裕典、倉科カナ、小野寺昭、真野響子

一言で言えば、「地味なドラマ」という表現になるのだが、こういう表現に挑戦するドラマ制作者がいることには素直に敬意を表したい。最初から明らかにターゲットとなる視聴者層を絞っていることが感じられるドラマで、そのニーズを的確に分析した上で構築された手法とスタンスが、最後までぶれることがなかった点は高く評価しなければならない。

最終回について言及すると、ストーリー的には予想通りの結末だったわけだが、演出的にはここまで奇をてらわない見せ方をするとは思わなかった。プロポーズというこのドラマのメインイベントをストレートに撮ったのは、悪く言えば工夫がないのだが、そういう小細工を必要としないドラマだったとも言えるし、むしろ演出担当者としては特別なことをしないというリスクを敢えて取ってみたといったところか。大成功だったと思う。

私は、脚本を担当した桐野世樹さんという方を存じ上げなかったのだが、エピソード構成と台詞回しのいずれにおいても決して「新人」というレベルではなかったと思う。ツイートしたとおり、この脚本は若干の雑な仕事も目立ったのだが、振り返ってみればそれらが山上ちはるさん(CX『月の恋人~Moon Lovers~』のブレーンの一人だった)の仕事だったというのは明らかであり、そのことをもって桐野さんの脚本家としての評価を落としてはならない。序盤3回とラスト3回だけを取り出せば、脚本の完成度はきわめて高い。

具体的に言うと、たい焼きやツバメの巣、廃車になりかけた古い車、鳩時計などをめぐるエピソードは、主人公の過去やバックボーンとなるものを示唆していて、これらのエピソードが単発ではなく、終盤まで主人公の気持ちに寄り添っていたのがとても良かった。これらのエピソードは、「モノ」そのものから生まれた発想ではなく、作り手が登場人物のキャラクターを緻密に作り上げた結果として生まれてきたものだと思う。特に「手作りのたい焼き」というのは、太助というキャラクターに合致するものでもあり、男親が息子を喜ばせ、勇気付けるために、精一杯努力していたことが伝わってくるエピソードだった。また、廃車になりかけていた赤い車が「人生」を示唆していたのは言うまでもないし、同時に主人公の過去を紡ぐ存在でもあった。

私は、このドラマのメインストリームは宮本波留(竹野内豊)が知らず知らずのうちに目を背けてきた自分の生い立ちと境遇に基づく自らの心情に向き合い、新しい幸せの形を見出すまでの物語だったと感じている。この脚本を振り返ってみると、波留の生い立ちから自然発生的に生まれてしまった複雑な心情と、それを自覚し、克服するまでの流れが物語の中に巧みに織り込まれていたと思う。可南子(和久井映見)が波留についての記憶をすっぽり失ってしまった理由は定かではないが、一つの可能性として、序盤に可南子の日記を通じて、二人が思い描く「家族」というものに対する温度差がもたらすストレスの存在が明らかになった。そして、今まで波留が知らなかった子供を可愛がる可南子の姿、父親には見抜かれていた家族を持つことへの躊躇、さらに実の母親の存在と、ひとつひとつのエピソードの積み重ねによって、波留が目を背けてきたものが次第に具体化してくるのである。

波留は最終回において、実の母親の口から離れ離れに暮らさなければならなくなった経緯と、母親が抱いていたその当時とその後の正直な気持ちを知ることになる。自分が母親から愛されていた、今も愛されているということをはっきりと知ることができたとき、波留の心の奥底に引っかかっていた「家族を持つことに対する躊躇」はもはや跡形もなく消え去る。そして、波留は可南子を苦しめていたものが何だったのかを確信し、可南子への心からの謝罪ともう一度可南子に、プロポーズへとつながっていく。そして、ラストシーンで「宮本ファミリー」を見せられてしまえば、一人の男の半生がしっかりと完成してしまうのである。主人公の過去と心情を浮き彫りにするエピソードが場当たり的ではなくて緻密に積み重ねられている優れた脚本だったと思う。ひとつ意味不明だったのは増山志乃(市川由衣)の存在。それと演出的に特筆すべき点がなかったのも残念だが、トータルとしてはしっかりと記憶に刻まれるドラマだったと思う。清々しい余韻が残るドラマであった。

最後に、すでにツイートしたとおり本作成功の最大の立役者が主演のお二人だったということには異論を挟む余地はないだろう。若い世代にはちょっと難解なお芝居だったかもしれないが、このドラマがターゲットとする世代には大いに共感を呼ぶお芝居だったと思う。このドラマが演出的小細工を必要としなかったのは彼らの力量によるところが大きい。お二人のお芝居を通じて登場人物の繊細な感情がしっかりと映像に刻まれた。

(了)

  • e97h0017e97h0017TBS『もう一度君に、プロポーズ』。タイトルからシンプルに想起できるわかりやすいプロットに好感。竹野内豊さんも和久井映見さんもいい意味で予想通りのお芝居を持ち込んできた。FCGの目玉TMがない共同テレビのクレジットが新鮮だった。なるほどフジテレビでは作れないタイプのドラマである。04/21 22:03
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第2話。無理やり複雑にしたがるドラマが多い中、こんなにシンプルなドラマは久しぶりだ。そもそもタイトルがいい。読点の位置がいい。ハッピーエンドなのはわかっているのでそこに至る過程と変化を楽しむべきドラマだろう。今回はたい焼きのエピソードが素晴らしかった。05/01 21:59
  • e97h0017e97h0017村上正典監督のロケハンセンスもいい。早稲田鶴巻町の界隈って春先は雰囲気がいいんだよな。ラストの公園はどこだろう?05/01 22:08
  • e97h0017e97h0017岩城由美さん(@iwakiyumi)の作詞です。”♪見つめ合うより横顔がこんなにも切なくて ときめくよりも深い愛気づいたから こぼれてゆく時間はもう追いかけない 大切に大切に月日を辿って”ここで泣いた。ストーリーとシンクロした詞と映像を呼び起こすボーカル。正真正銘の主題歌である。05/02 20:05
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第2話ラストの公園は北区にある都立浮間公園らしい。北区は土地勘がないから全然知らなかったし、ドラマのロケ地としても見たことがなかった。あんなに大きな池のある美しい公園がこんな近郊に埋もれていたとは。『愛していると言ってくれ』の井の頭公園を髣髴とさせた。05/02 20:31
  • e97h0017e97h0017@iwakiyumi 今日はこの曲を聴きながらずっと涙腺を緩ませっぱなしでした、、、本当に素敵な詩をありがとうございます。このドラマは岩城さんが書いた詩がそうであるように「ただいま」に向かっていく物語だと思います。この言葉に魅力的な響きを与えてくれる作品になることを願っています。05/02 22:20
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第3話。ものすごい繊細な感情を突いてくるドラマだ。一般的な「普通ではないこと」への反応と波留が可南子を気遣う心情は別物だということを確認しておきたい。可南子がそこに気づけるかどうかが焦点だ。事件ドラマに慣らされている人には表現が繊細すぎて判りづらいか。05/06 14:51
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第5話。このドラマが表現しようとしているものは誰もが日常的に直面している繊細な感情だ。波留が感じた疎外感も可南子が感じた自己嫌悪もまったく特別なものではない。人が人と関わろうとする中では避け難い誤解であり、互いを分かり合うまでには必要な感情なのである。05/21 23:48
  • e97h0017e97h0017竹野内豊さんと和久井映見さんがどんなお芝居をする俳優さんなのかは熟知していた。しかしこのドラマを通じて改めてお二人の実力を思い知らされている。俳優としての個性を打ち消し、あくまでも役の個性を表現することに徹する。彼らが長きに渡って主演俳優のポジションにあり続ける理由はここにある。05/21 23:48
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第6話。ちょっと本が雑になってきた。桂と可南子の弟の接点を生むやり方は稚拙すぎる。そこにドラマを作るのが脚本家の仕事だろう。一方で波留の母親の存在を意識させることでストーリーに奥行きが出てきた。波留は父親の助言に基づいて究極の原点に回帰する決断をした。05/30 20:05
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第7話。波留の真意は悲しいほどに繊細な感情に基づいていた。彼にとって新しい関係を形成するための原点回帰と元通りにするための原点回帰は似て非なるものだ。真面目か!と突っ込みたくなるのだが、自分のエゴを可南子に押し付けていたという事実は相当に堪えたようだ。06/01 23:06
  • e97h0017e97h0017果たしてこのようなピンポイントかつ特殊な感情にスポットライトを当てることで視聴者の共感は得られるのだろうか。私には桂が抱えてきた波留に対するストレートな感情の方がよっぽど共感しうる対象だが。確かに人間の感情は複雑だが、テレビドラマで扱う感情はもっと普遍的でなければならないと思う。06/01 23:23
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第8話。先週の次回予告が示すとおり起伏のない回だった。ただし太助が語った波留の「親になることへの躊躇」の根底に彼が抱いてきた実の母親に対する心慮があるのは間違いなく、そのことが術前の可南子との関係において重要な懸案だったということを思い出しておきたい。06/08 23:42
  • e97h0017e97h0017一方で桐野脚本の特徴だろうか、今回は複数の台詞が印象に残っている。「捨てるのではなく思い出を将来の糧にしたい」「修理された車は過去に戻るのではなく別の未来に向かうんだ」「生きているうちは遅すぎるということはない」これらの台詞を物語の結末にどのように響かせるか脚本家の腕が試される。06/08 23:54
  • e97h0017e97h0017『もう一度君に、プロポーズ』第9話。太助のジョークはある意味で死のフラグだが、波留と可南子を笑顔にすることで彼の心は満たされた。ツバメの巣立ちによって予感された太助の死は最終的に波留と可南子の表情のみで語られる。人の死を涙ではなく間接表現で切り取ろうとする試みに好感を持っている。06/19 00:32

(あとがき)
2時間で執筆しました。また、本編を一度観ただけなので記憶違いなどあるかもしれません。ご了承ください。
「あとがき」というより「言い訳」でした(^^;。


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コメント 21

めい

ジャニスカさん、おはようございます。
『もう一度君に、プロポーズ』レビュー、うれしかったです。
「手作りのたい焼き」のエピソードは「男親が息子を喜ばせ、勇気付けるために、精一杯努力していたことが伝わってくるエピソード」の言葉に涙です。また、「このドラマのメインストリームは宮本波留(竹野内豊)が知らず知らずのうちに目を背けてきた自分の生い立ちと境遇に基づく自らの心情に向き合い、新しい幸せの形を見出すまでの物語だった」とのところも、ああそうだったんだと思えました。
本当に漠然とした感じに言葉を見出した感じです。これを二時間で・・・
まずは感謝です。
by めい (2012-06-25 07:23) 

かめの母

ジャニスカさん、こんにちは。
以前、的外れなコメントを出して、ジャニスカさんを困らせた者です・・・。
「もう一度君に、プロポーズ」のレビューありがとうございました。
シンプルすぎる作品だったかも知れませんが、切なくて、心を癒される作品で私は好きでした。
ジャニスカさんがおっしゃった、
「本作成功の最大の立役者が主演のお二人だったということには異論を挟む余地はないだろう」
に、納得です。
お2人の、演技力はもちろん、40代にもなって持ち続ける”清潔感”、”純粋さ”が、
主人公2人に合っていたように思えます。
そして、レビューしづらいドラマだったかもしれませんが、
「トータルとしてはしっかりと記憶に刻まれるドラマだったと思う。清々しい余韻が残るドラマであった。」
と、総括していただき嬉しく思います。
by かめの母 (2012-06-25 14:30) 

チャリ

はじめまして
何時もながらの素晴らしいレビュー
ジャニスカ さん、あなた 一体何者ですか^^
by チャリ (2012-06-25 20:15) 

ぴあの

ジャニスカさん、こんばんは。
先日、一度お邪魔させていただきました。
レビューを書いて下さり、とても嬉しいです。
大好きな作品になりました。
ハッピーエンドに向かって、大きな起伏もなく淡々と進んでいったお話なのに、終わってみると、とても壮大なドラマを見せられたかのようでした。
「一人の男の半生」を描いた物語でもあったのですね。納得です。
そういえば最後の2話は、波留と父、実母との物語にスポットが当てられていて深みがあり、他の回とは違う味わいで、圧巻でした。
ジャニスカさんがまるで俯瞰するかのように作品の全体像を見せて下さり、大きな視野で見ることが苦手な自分にとっては目からウロコのことばかりです。ありがとうございます。
中盤のあまりにもな展開にガッカリし、波留と可南子の物語まで破綻するのではと疑いを持ってしまったのですが、結局メインの物語の軸は、どんなに周りがゴチャゴチャしても、どっしりとしてぶれることがありませんでした。
自分の読みの甘さと、素直に信用できない心の狭さをちょっぴり自覚することにもなり…。
私には「目」ならぬ、自分の持っている「感情」を使って観ることを要求されるドラマでした。
画面を見ているだけではどうしても見えず、波留と可南子の心にも、自分の心にも深く潜りこまなければ見えないような。
自分の心の中にどれだけの感情の引き出しがあるか、試されている気分でした。
この作品によって、自分の中に積もりに積もっている普段の感情よりさらに奥底にある感情が、かきまわされて浮かんできたような感覚があります。
存在していることさえ忘れていた、懐かしさとも優しさとも少し違う、名前のつけられない感情なのですが、それがとても心地よかったです。
このドラマに出会わなければ、日常のゴタゴタに紛れて、そのような感情が呼び起こされることはなかったかもしれません。
そういう意味でも、私にとって貴重な珠玉のドラマになりました。
聞いていただきたくなり、ダラダラと長文を書いてしまい、失礼いたしました。
by ぴあの (2012-06-25 22:34) 

花ママ

私もはじめましてです。
本当にいつもながらの素晴らしいレビュー。
「流れ星」のレビューに感動して以来、すっかりジャニスカさんの
ファンになった私。今では新ドラマが始まる時は、まずジャニスカさんの
コメントを読んでから見るドラマを決める私です。
そして今回、竹野内さんと和久井さんの目と表情で語るお芝居に
魅せられた「もう一度君に、プロポーズ」。こんなにも心に染み込み、
次回が待ち遠しいと思ったドラマは無いというくらいはまってしまいました。
それが先日とうとう終わってしまい、抜け殻状態になった私ですが、
そんな中で実はジャニスカさんのつぶやきを、今か今かと待っていました。
それが、つぶやきではなくこんなにもタップリのレビューにしてくださって、
感動です。もちろんいつも通りの「さすが!」の内容。又今回も今まで私が
読みとれていなかった部分を、教えていただきました。
これでようやく私の中で「もう一度君に、プロポーズ」が完結した、という感じ
です。ありがとうございました。
それから、めいさんのコメントを読んでビックリしました。ジャニスカさんの
レビューを読んで私が感じたところと全く同じ2か所を取り上げてコメント
されていたので。なんだか嬉しくなりました。
初めてなのに長々とすみません。
これからも楽しみにしています。
by 花ママ (2012-06-25 23:40) 

ジャニスカ

めいさん、おはようございます。
早速お読みいただきありがとうございました。
私はたい焼きのエピソードを見て、桐野さんという方がただの新人脚本家ではないと認識しました。
もしかしたら身近に着想を得るような話があったのかもしれませんが、
それにしても「2匹つながったたい焼き」というのは素晴らしいセンスだったなと思います。

これは私の想像ですが、太助さんはフリーマーケットとかリサイクルショップとか、
もしかしたらゴミ置き場でこのたい焼き器を見つけて、波留を喜ばせるためにたい焼きを作ってやろうと
思いついたんじゃないかと思うんです。実際作ってみたら器具の不具合でどうしてもつながったやつが
出来てしまう。でもこれもおもしろいじゃないかと、野球の試合では定番になっていった・・・
そんな親子の思い出と繋がりを観る者に想像させるエピソードなんですよね。
「クレイマー、クレイマー」のフレンチトーストのような風景を想像してしまう。
これがたい焼きではなくて、たとえば男の料理的なでかいおにぎりとか甘い卵焼きだったとしても
ドラマとしては成立するわけですが、それだとありふれた親子の話でしかないし、
我々が想像する余地も奥行きも限られてしまう。観る者の心にフックをかけて、
思わず目を閉じて想像してしまうような魅力的なエピソードだったと思います。

確かに2時間で書いたのですが、
内容はこのドラマを観ながら感じてきたことをまとめたものですので、
実際には「2ヶ月+2時間」と言った方がいいかもしれません。
太字で書いたことは第6話以降、少しずつ感じ取ってきたことです。
私が感じたことと私の言葉に共鳴してくださって嬉しかったです。ありがとうございました。
またお気軽にコメントくださいませ。。。

by ジャニスカ (2012-06-26 03:27) 

ジャニスカ

かめの母さん、こんにちは。
最終的に素晴らしいドラマに仕上がって本当によかったですね。
桐野さんの脳内では最初からしっかりと完成されていたドラマだったようです。
大声でこのドラマを大好きだと言ってあげてください。

竹野内豊さんと和久井映見さんのバランスは素晴らしかったですね。本当にお似合いでした。
映見ちゃんがテレビ誌のインタビューで竹野内さんの目を見てお芝居すれば自然に可南子になれるので、
特に役作りのようなものはしていないというようなことをおっしゃっていたんですけど、
これはあんまり聞いたことがない話で、改めてすごい女優さんだと思いました。
もちろんこれだけの女優さんにそう思わせる竹野内さんもすごいです。
我々が観ていたのはお二人の間の呼吸とか間合い、信頼関係が作り出していたお芝居なんだと思います。
そこには第三者が入り込む余地はなくて、はっきり言って演出家要らずのドラマだったのでしょう。

竹野内豊さんはまだまだ「主演」の地位を若手に譲るつもりはないようです。
次回作が楽しみですね。個人的には映画で観たい俳優さんです。
またどうぞ。。。

by ジャニスカ (2012-06-26 19:41) 

ジャニスカ

チャリさん、はじめまして。いつもご来訪ありがとうございます。
「何者か?」と訊かれると、どこまで身分を明かしていいのかわからないのですが(^^;、
ひとつ言えることは昔から映画やドラマが大好きで、作品から多くの感動を得てきた人間だということです。
私がこうやってレビューと称するものを書けるのは、触れてきた作品の蓄積があればこそです。
映画やドラマの題材って、100年近い歴史の中でもうやり尽くされていると思うんです。
今となっては「純粋なオリジナル作品」を生み出すことはほぼ不可能であって、
作り手は意図していなくても、結果的に過去に描かれたことのあるテーマの寄せ集めであることが多いです。
野暮なことを申しますと、このドラマのテーマ(特に太字で書いたこと)だって、
私は過去に観たことがあります。私は、第6話で波留の実の母親の存在が明らかになった時点で、
このドラマが何をやろうとしているのかをほぼ理解しました。そして予想通りの結末を迎えました。
でもそのような過去作の模倣だったり、繰り返し、あるいは予定調和というのは決して悪いことではなくて、
むしろ映画やテレビドラマが文化として成熟している証なんだと思います。
人を感動させるものは限りなく普遍的です。

私がこういうレビューを書く理由、背景がうまく伝わればと思います。

by ジャニスカ (2012-06-26 20:03) 

ジャニスカ

ぴあのさん、どうもこんばんは。またコメントいただけて嬉しいです。。。
大好きだと心から思えるドラマに出会えて本当によかったですね。
やっぱりテレビドラマというものはラストシーンがもたらす「余韻」がすごく重要なんですよね。
波留が獲得した幸せの形を見せることによって、彼のその後の人生までもが見えてくる。
そのあたりが、ぴあのさんがおっしゃる「壮大」という表現につながってくるのかなと思います。

とはいえ、自分で言っておいてなんですが、
作り手はこのドラマで「一人の男の半生」を描いたとは言わないような気がします。
それはあくまでも作り手が一つ一つの仕事を丁寧に積み重ねてきた「結果」を示すものかもしれません。
というのも、すべてのドラマが多かれ少なかれ意図しているものは、
本来存在しない登場人物のキャラクターを「生身の人間」として描くことにあって、
特に主人公の過去やバックボーンとなるものをきっちりと構築しておくことはとても重要な仕事です。
本作では主に太助の存在を通じて波留の人間的背景が語られてきました。たい焼きのエピソードしかりです。
また可南子にあっても、彼女の家族や友人、過去の恋人を通じて提示された多くの情報があったと思います。
優れたドラマというのは、このような過去に遡ることができる人物造形を当たり前のようにやっています。
主人公の言動を通じて観る者の心を揺さぶり、感情移入させるためには、この作業が不可欠だと思います。
いいドラマとは、視聴者が主人公の現在の姿を通じて彼らの過去に遡ることができるものだと思います。
また、いいドラマとは、ラストシーンを見たあとに主人公の未来を想像できる「余韻」が必ずあります。
このドラマのストーリーには「過去」「現在」「未来」をつなぐ丁寧な仕事が積み重ねられていました。
作り手が当たり前のことを当たり前のようにやった結果が「スケール感」を感じさせたんだと思います。

「感情」についてのお話ですが、映画やドラマは「感じること」が一番大事だなと私も思います。
私も作品やその作り手によって「試されている」という感覚は常に持ち合わせていて、
自らの感性を積極的に動員して、作品が表現するテーマにできるだけ近づきたいと思っています。
自分の感情というのは日常生活ではなかなか冷静に見つめることがないんですよね。
あるいは身近にいる人たちの感情についても同様かもしれません。
日々当たり前のように喜怒哀楽があるのかもしれないけれど、その本質からは目を背けていたりする。
テレビドラマはそういうものを見つめ直すいいきっかけを提示してくれているのかもしれません。
ドラマを観て感じたことを日常にフィードバックできたらこんなに素晴らしいことはないと思います。
このドラマがそういう作業の拠り所だったり、原点的な作品になるとすれば、
そういうドラマに出会えたことを感謝しなければなりませんね。

こちらこそ長文にお付き合いいただきありがとうございました。
またお時間ができましたらお立ち寄りくださいませ。。。

by ジャニスカ (2012-06-26 23:46) 

ジャニスカ

花ママさん、はじめまして。
私のレビューをお褒めいただきありがとうございます。
でも「私のファン」って本当ですか!?これにはびっくりやら照れるやらです(^^;。
私のコメントを参考にしていただいているなんてこれまた嬉しいです。
来期のドラマについても近いうちに言及したいと思っています。
引き続きテレビドラマを精一杯感性を働かせて楽しんでください。
私が書いた文章がそのお手伝いをできたらこんなに嬉しいことはありません。
長いコメントでも短いコメントでも大歓迎です。
またお気軽にお寄せくださいませ。。。

by ジャニスカ (2012-06-26 23:57) 

ぺこ

ジャニスカさん、はじめまして。

「流れ星」
のレビューを拝読してから、ジェニスカさんの洞察力、文章力に感嘆し「もう一度君に、プロポーズ」のレビューを待ち望んでいました。ありがとうございます。

心のどこかで感じていていながら、自分でも分からないことをジェニスカさんが教えてくださいます。このドラマはラブストーリーではなく、家族愛を描いているんだと思っていました。でも、波留の成長物語との言葉に正に「そう、そうなんだよ」とすっきり合点しました。

竹野内くんのファンでドラマも大抵みていたのですが、抜けてしまったこともしばしば。「さまよえる刃」も拝見しました。確かに、その時の竹野内くんは今とは違いますね。次回が待ち遠しいドラマは「流れ星」からです。竹野内くんの演技が素晴らしく、ドラマを見続けていたことにもジェニスカさんのご指摘で気が付きました。

今後もレビュー楽しみにしております。
by ぺこ (2012-06-27 21:02) 

ももいろ

ジャニスカさん、はじめまして!

ドラマ「もう一度君に、プロポーズ」とジャニスカさんのレビューとの出会いは、衝撃的でした!

竹野内さんと和久井さんの空気感と見事な演技。
小野寺さんと竹野内さん、真野さんと和久井さんの空気感も素晴しかったです。

そして音楽!ドラマの美味しい味付けのスパイスにピッタリでした。^^
オリジナルサウンドトラック盤を購入したのは、以前フジテレビで放送された三上博さん主演の「それが答えだ!」以来です。

ドラマは小説、歌詞は短編小説だと思っていましたが、甘く切なくさせるメロディーに乗って聞こえてくる「ただいま」の歌詞には、毎回感動させられてしまいました。

この作品(ドラマと言うよりも作品と呼ばせてください)に出会うまで、正直に言うと脚本を手にしてみたいと思った事は無かったのですが、是非読んでみたいという衝動に駆られてしまいました。
キャスト、脚本家、演出家(スタッフ)が一体となった稀に見る素晴しい作品だったと思います。

実は数年前にTBSの昼ドラに「ラブレター」という鈴木亜美さん主演のこれも評判が良かったドラマがあったのですが、この時はドラマが終わってしまった後は、喪失感が凄かったのを覚えています。
「もう一度君に、プロポーズ」は喪失感は多少ありましたが、あの時と違い、爽やかさも残してくれたと思います。

そして何よりも竹野内さんと和久井さんの迫力ある演技、そしてこのドラマに出てくる数々の印象に残る台詞が、私自身の仕事に対する姿勢、考え方等、まだまだ甘いという事を知らしめてくださったような気がします。
ジャニスカさんのレビューを読んで、再確認させて頂きました。
ありがとうございます。


by ももいろ (2012-06-28 16:55) 

ジャニスカ

ぺこさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
このドラマのレビューを待ち望んでいてくれた方がこんなにたくさんいたことにすごく驚いています。
視聴率なんかでは計れないこのドラマの魅力が確実にあるようです。
実は私にはその魅力の正体をいまひとつ掴みかねているところがあるのですが、
このドラマを愛する皆様それぞれに様々な想いがあることと思います。
そればかりは、私には言葉にすることはできません。

このドラマは「家族愛」も描いていたと思います。
偉そうなことを書いていますが、私はこのドラマのことをすべてわかったとはまったく思っていません。
観ている人が置かれている状況、感性、その瞬間の感情で、テレビドラマに対する感じ方は千差万別です。
そして、それらすべてが間違いじゃないということです。
どうかぺこさん自身が感じたことも大事になさってください。

引き続き私のレビューをお読みいただけたら嬉しいです。
またコメントお寄せください。お待ちしてます。。。

by ジャニスカ (2012-06-30 11:25) 

ジャニスカ

ももいろさん、はじめまして。
私のレビューをお読みいただき、また評価していただきありがとうございます。
主題歌は素晴らしかったですね。詩もメロディもこのドラマの結末を暗示しているようで、
JUJUさんの声を聴くと毎回ほっとしていました。

台本って、脚本家にもよるのですが読み物としてはあまり面白くないことが多いです。
極端に言えばシチュエーションと台詞が書いてあるだけですから。
でも映像を思い浮かべながら読むのは楽しいかもしれません。たまにヤフオクで出回ってたりします。

確かにこのドラマを観て自分自身が居住まいを正さなければという感覚はありました。
それはやっぱり主演のお二人のお芝居の実直さ、たたずまいがそう感じさせるのかなと思います。
そんなふうに我々の日常や、大げさに言えば我々の生き方に影響を及ぼすようなドラマに出会えた
ということはすごいことだと思います。そういう感覚はずっと大事にしていきたいですね。

また機会がありましたらお立ち寄りください。。。

by ジャニスカ (2012-06-30 11:56) 

ふーみん

ジャニスカさん、はじめまして!
終わってしまった「もう一度君に、プロポーズ」の余韻が私を、何度となく録画をリピートし、そのたびにたくさんの気持ちの違った涙をながし、どうにも止まらない感情に、「もう一度君に、プロポーズ」について何か知りたいと検索していたら、ジェニスカさんのレビューに出会いました。
 この気持ちを伝える言葉が見つからなくて、変な言い方ですが、もやもやしていたら、レビューを読ませていただいて、とてもうれしくなったり、見落としていたところに気づかせて頂いたり、奥の深い内容に、私の心が整理されたような気がしました。ジャニスカさんにお礼が言いたくて。
 言葉にするのはむずかしのですが、平凡な毎日を大切にしたいと心から願える私がいました。
ドラマも素敵だったのですが、これからもジャニスカさんのコメントを楽しみに、私も感性を磨きたいと思います。
by ふーみん (2012-06-30 12:37) 

ジャニスカ

ふーみんさん、はじめまして。ご来訪&コメントありがとうこざいます。
このドラマのレビューは検索で訪れてくれる方がとても多くて、
視聴者に愛されたドラマだったということを実感しています。
概算で「リーガル・ハイ」のレビューの10倍ぐらいのアクセスがあるんですよ。スゴイですよね(^^)。
個人的には「リーガル・ハイ」のレビューは半端ない時間を要したので複雑な気持ちです(^^;。
逆にこのドラマのレビューはあまり時間をかけずに書いてしまったので申し訳ないような気もしています。
1度しか観てないし・・・すいません、、、
でも書いたことはこのドラマが表現しようとしたことの核心に近づけていると思っています。
私のレビューを読んで、このドラマの魅力を深く知っていただけたことはとても嬉しいことです。
私のブログを通じてテレビドラマの新しい魅力を知っていただけたら本当に嬉しいです。
私自身も精一杯感性を働かせて、映画やテレビドラマの魅力がふーみんさんに伝わるような文章を書いきたいと思っています。ありがとうございました。。。

by ジャニスカ (2012-07-01 22:21) 

NO NAME

ジャニスカさん、初めまして。
海外出張から帰国して、周回遅れで録画を見てます。これほどのドラマは最近なかなか出会えません。ちょっとしたセリフや小道具が、後になってきちんと意味を持ってストーリーにはまる。
それに劣らぬ緻密なレビューをありがとうございます。理解がより深まった感じがします。
ただ、ストーリーに不満もあります。裕樹と志乃の存在がいまいちはまりません。主人公2人が相手を慮ったやり取りをしているのに、人の心に土足で踏み込むような言動が多いような感じですね。さらに一哉と桂。なんでわざわざ三角関係のようなものを持ち込もうとするのでしょう。この2人の描写は不要だったように思います。特に第7話での桂がネギカレーを作りに来るシーンはひたすら騒々しいだけですね。
それやこれやで「序盤3回とラスト3回だけを取り出せば、脚本の完成度はきわめて高い。」には強く同意します。そういう意味からも第5話と7話は残念です。
これからも素敵なレビューを楽しみにしています。ありがとうございました。
by NO NAME (2012-07-31 21:46) 

ジャニスカ

お読みいただきありがとうございました。

>なんでわざわざ三角関係のようなものを持ち込もうとするのでしょう。

この疑問に真正面から答えようとすると「これはテレビドラマだから」としか言いようがないように思います。
主人公に感情移入していると、二人の関係に波風を立てる登場人物の存在を疎ましく思うかもしれませんが、
翻って考えてみると、そういう存在が皆無なドラマが本当に魅力的なものになるのでしょうか。
私はドラマの中に多様な人物がいる理由は世の中には人の数だけ様々な感情があるからだと思っています。
そのような多様な感情をたった二人の主人公に投影させようとするのは当然不可能ですから、
いくつかの普遍的な感情を統合させる形で、それを表現するための様々な登場人物を構築していきます。
本文に書いた通り、志乃が何を表現しようと意図した登場人物なのかは今一つ伝わってこなかったのですが、
それ以外では、裕樹は平たく言えばシスコン的な感覚で姉や母親を思う気持ちを表現していたし、
一哉は平たく言えば男の弱い部分とそれとは相反する男のプライドのようなものを可南子との関係において
表現しようとしていたと思います。実は男性の立場から言えば一哉はもっとも共感できる人物かもしれません。
また、桂については、私は本作中もっとも普遍的でわかりやすい感情をストレートに表明する
キャラクターだったと思っていて、むしろとても好感を持っていました。
桂がカレーを作りに来るシーンを「騒々しいだけ」と感じることを否定するものではないし、
実際作り手はそういう効果を狙ってこのシーンを作ったのかもしれませんから、
ストーリーを追うだけならば、もしかしたらそれだけを感じることができれば十分なのかもしれません。
しかしこの時の桂の気持ちを真摯に汲み取ろうとすれば好きな人を元気付けたいという一心だったはずです。
それを「人の心に土足で踏み込むような言動」と言われてしまえばそれまでなのですが、
人間というものは、特に恋愛においては相手のことを強く想うがゆえに
自分の感情や言動をうまくコントロールすることができなくなってしまうものなのではないでしょうか。
このシーンで桂はそのことに自分で気が付いてしまうんですね。
これに自力で気が付かないで、それこそ空気を読まない騒々しいだけのキャラクターだったとしたら、
桂という登場人物はストーリーを展開させる(=主人公の心に波風を立てる)ためだけのキャラクターですから、
私はそれだけでこのドラマのクオリティを見切っていたかもしれません。
脇役の人物造形をおろそかにして、彼らが作り手の都合のいいように物語を
進めるための道具でしかなかったとしたら、このドラマは凡庸なものになっていたと私は思います。
彼らを使ってストーリーを展開させつつ、彼らの言動にも自己完結できる意味付けがあって、
彼らを通じて何らかの普遍的な感情をしっかりと表現しようとしている。
作り手がそういう仕事を丁寧にやっているからこそ、私はこのドラマを高く評価しているのです。
テレビドラマを観て主人公に感情移入するということは素晴らしいことだと思います。
でもこのドラマの脇役たちにもちゃんと人生があるということを忘れないでいただきたいと思います。

by ジャニスカ (2012-08-01 21:04) 

NO NAME

どうも。こん**は。
追加の詳細な説明をありがとうございます。言われることはわかります。
ただ、申し訳ありませんがここから先は好みの問題かなあ、という気もします。
>ドラマの中に多様な人物がいる理由は世の中には人の数だけ様々な感情があるからだ
それはそうでしょうが、本筋ではないところは大胆に切り捨てるのもありかなあ、というのが正直な感想です。それが魅力的か?と問われると回答に窮しますが。ですので好みの問題か、と。
携帯を届けるのは女友達でもいいだろうし、アドバイス役は図書館長でもいだろうと。であれば一哉の元彼という設定はなんだろう?離婚したから分かるアドバイスって何だ??一哉と裕樹のからみはもっとどうでもいいや、と思ってしまいます。
>桂の気持ちを真摯に汲み取ろうとすれば好きな人を元気付けたいという一心だった
それまでの表情その他から、「空きができたから割り込もう」としているようにも取れました。私かなりひねくれたものの見方をしてますね。
>主人公に感情移入していると
私、今回はこれが強すぎるようですね。なので、裕樹のシスコンは正直邪魔なだけでした。
ということで、ありがとうございました。またしばらく海外ですのでレスポンスは遅れます。
by NO NAME (2012-08-05 23:37) 

ジャニスカ

「好みの問題」なのは当たり前のことです。
そして私はこのドラマが好きだと申し上げています。
私は本文とこのコメント欄を通じてその理由を述べたのです。

それに対してあなた様は、

>これほどのドラマは最近なかなか出会えません。

と言っている一方で、脇役が邪魔だとおっしゃる。
そしてその理由を具体的に述べずに「好みの問題」で片付けようとする。
あなた様が私のブログのコメント欄を利用して何がなさりたいのかさっぱりわかりません。

確認しておきますがあなたが私の感想に共感することがないように、
私もあなたの感想に共感することはありません。
ただ「好き嫌い」を述べたいだけなら、もうコメントはお控えください。時間の無駄です。

by ジャニスカ (2012-08-06 00:32) 

NO NAME

了解です。たいへん失礼いたしました。
by NO NAME (2012-08-06 06:22) 

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