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茄子 アンダルシアの夏 [映画レビュー]

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『茄子 アンダルシアの夏』
(2003年 アスミック・エース 47分)
監督・脚本:高坂希太郎 出演:大泉洋、筧利夫、小池栄子
          Official / Wikipedia / allcinema          

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(C) 2003 「茄子 アンダルシアの夏」製作委員会

本作は、日本人には馴染みの薄い自転車のロードレースを題材としており、劇場に足を運ぶにはそれなりの動機付けを要求し、残念ながら興行的には振るわなかったようです。ましてやスパニッシュの主人公をはじめ、登場人物がすべて外国人ということで、感情移入しづらいということもあったかもしれません。

まず、自転車のロードレースがいかなるものかを知らない人にとっては、主人公のペペ・ベネンヘリ(大泉洋)がチーム内で置かれている立場というものがわかりづらく、劇中のレース展開についていけなかった人も多いかもしれません。しかし、ペペのチーム内での立場や役割がレース中に劇的に変化していくところが、本作のストーリーに起伏を生み出していると同時にペペの人物像を浮き彫りにする役割を果たしており、その点を理解できればもっと本作を楽しめると思います。

本作の舞台は、三大自転車ロードレースのひとつ「ブエルタ・ア・エスパーニャ」です。およそ1ヶ月をかけて、スペインを一周してその総合タイムを争うレースですが、1日あたり200km前後のコースは「ステージ」と呼ばれ、チームにとってのもうひとつの目標が、20ほどある個々のステージで優勝を狙うことにあります。1チームは9人で編成されており、チームのエースを勝たせるためにその他の8人がアシスト役となります。

ぺぺが所属するチーム・パオパオビールは、チーム内無線のやり取りでもわかるように、総合優勝争いに絡むどころかステージも勝てておらず、山岳ステージを前に有力チームが静観しているこの日は、チームにとってステージ優勝を狙える状況にあります。また、スポンサーが見学に来ていることもあり、いづれにしろチームとして何らかの見せ場を作る必要があります。

そこで監督が白羽の矢を立てたのが、この日調子がよかったペペでした。と言ってもあくまでもペペはアシストであり、チームのエースであるギルモアとともに集団から飛び出して、ギルモアがステージ優勝するための「捨て駒」になるのです。このときペペは、スポンサーとのやり取りの中で、自身にクビの可能性があることを知ってしまい、落胆しながらも、この日の「自分の仕事」をやり遂げることに集中しようとします。

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「今日はギルモアの日です。オレでよければ保証します」

目論見どおり、ペペのアタックが成功して、ギルモアを含む10人ほどの逃げ集団を作ることに成功します。このときギルモアがペペに対して「地元だからって、色気を出すなよ」と釘を刺しますが、ペペにとって地元への凱旋ゴールとなるステージであるにもかかわらず、そのことについてペペの態度がいたって淡白であるところが終盤にかけての重要な伏線となっています。

一方、ペペの地元では、ペペの兄・アンヘル(筧利夫)とカルメン(小池栄子)の結婚式が行われており、レースと同時進行でその模様が描写されていきます。この時点では「兄の結婚」と「ペペのレースにおける仕事」は、まったく別個のものであり、そこに直接的な関連性を見出すことはできません。チーム戦略という観点からハナからペペ自身に優勝の芽はないとは言え、ペペは地元ゴールに対して淡白であり、兄の結婚を祝して優勝してやろうなどという発想は皆無なのです。

そんな中、逃げ集団には有力なライバルがいて、チーム・パオパオビールとしてはさらにレースをかき回す必要が出てきます。ペペは、逃げ集団をさらにふるいにかけるために再度アタックしますが、誰も追いかけて来ないので、自分がノーマークとされている事実に憤慨します。そして、物語は劇的な転換点を迎えます。

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「またアタックだ!ペペ・ベネンヘリ。みるみる差は開いていく」

アンヘルとカルメンの結婚パーティーが行われている馴染みの酒場では、知人たちがレースを観戦しています。店の前をペペが通過すると、大盛り上がりを見せますが、直後に店の看板猫が道路に飛び出して、ペペの後ろの逃げ集団の何人かが落車してしまいます。選りによってこれにギルモアが巻き込まれ、レースを離脱してしまったことから、レース展開は大きく変化していきます。エースを失ったチーム・パオパオビールが取りうる選択肢は、ペペをこのまま逃げ切らす戦略しか残されていないのです。

これ以降、物語の焦点は、ペペの優勝に移りますが、この日のレースに対するペペのモチベーションが、自分のクビがかかっているとか、地元優勝といった単純なものではなかったことが明らかになると、観客の気持ちは一気にペペという人物に引き込まれ、我々も応援せずにはいられなくなります。そして、そのことを明らかにする兄弟の過去についての新事実は、見事な演出手法で表現されていきます。

ゴール地点でペペを迎えようと街に向かう車中で、ペペの兄・アンヘルは父親との会話の中で兄弟の過去に触れます。その中で明らかにされる、アンヘルの妻となったカルメンがペペの恋人だったという事実は、あまりにも唐突で衝撃的なものとして受け止められると思いますが、その衝撃事実に至る会話は、「兄と父が会話する静かな車中」と「ペペが必死にペダルを踏む激しいレース」のカットバックの中で描写されていきます。

その「事実」というのは、紛れもなくペペがプロのロードレーサーになった動機であり、ペペが「自分の仕事」をするもうひとつのモチベーションが明らかになった時には、我々はいつの間にかペペに感情移入しています。このシーンにおける「静」と「動」の切り返しは、見事にペペを取り巻く情感を表現していたと言え、そのことが序盤にペペがつぶやいた「遠くへ行きたい」という言葉の意味と繋がってくると、ペペという人物にさらに奥行きが付与されます。

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「おまえが好きなのさ」「好きよ!ぺぺ」「オレは嫌いだよっ!」

プロとして自分の仕事にひとつの結果を残したことで、ペペが言うところの「遠く」へ到達できた言えるところが、物語の結末をさわやかなものにしています。

総合評価 ★★★☆☆
 物語 ★★☆☆
 配役 ★★
☆☆
 演出 
★★★
 映像 
★★☆☆
 音楽 ★★★★


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