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ハッピーフライト (上) [映画レビュー]

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『ハッピーフライト』
(2008年 東宝 103分)
監督・脚本:矢口史靖 出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか
          Official / Wikipedia / Kinejun          

2009111601.jpg
(C) 2008 FUJI TELEVISION, ALTAMIRA PICTURES, TOHO, DENTSU

記事:ハッピーフライト (中) 

コメディ映画というものは、ただふざければいいというものではなく、笑える要素とシリアスな要素が表裏一体でなければ、成立しないものだと思います。その振れ幅が大きければ大きいほど、笑いの本質が見えてくるのであって、それが機能して初めて「上質のコメディ映画」たりえるということができるのです。本作の成功は、そのふたつの要素を明確かつ厳密に描き分けることにかかっていたような気がしています。

本作の舞台となっているのが、航空業界という特殊な業種ということで、パイロットや整備士をはじめ飛行機に直接関係する職種の人たちは、些細なミスが大事故に繋がるかもしれないという緊張感の中で仕事をしており、それぞれの仕事に対する責任の重さは、たとえば病院などの医療現場で働く人たちにも匹敵するものだと思います。それだけに映画化にあたっては、あまり茶化しすぎるとシャレにならない危険性を秘めており、そこはシリアスな要素、すなわち「リアリティ」のある描写をしっかり盛り込むことでカバーしていかなければなりません。

余談ですが、フジテレビのドラマ『ナースのお仕事』のファーストシリーズなどは、今改めて見てみると笑えないエピソードばかりです(^^;。当時は現在ほど「医療ミス」や「医師不足」といった医療問題が顕在化しておらず、医療系ドラマもかなりおおらかでした。今放送したら、クレームの嵐だろうし、それ以前に放送コードに引っかかる可能性があります。

本編においては、冒頭にいきなりきわどいシーンが登場します。機長昇格試験を控えた副操縦士の鈴木和博(田辺誠一)は、訓練中に緊急事態に陥り、飛行機を墜落させてしまいます。もちろんこれはシミュレーターでの話であり、鈴木が「事故のシミュレート」を迫真でやっているところに笑いが生まれます。訓練だったとしても、飛行機の墜落を茶化すというのは、ちょっときわどいところですが、田辺誠一さんの大げさなお芝居から、最初からこれが「シミュレーター」か「夢」のどちらかであることを観客は織り込んで見てしまいます。

そして、直後にこのシーンについての「リアリティ」によるフォローがしっかりと入ります。訓練を終えた鈴木にいかにもという風貌の教官から「訓練でよかったな」という言葉がかけられます。さらに、「あんな状況ありえるかよ」という鈴木の愚痴が盛り込まれ、「わざと墜落するように仕向けられた訓練」が実際に存在することを観客に意識させます。

私もパイロットとは全然比べ物になりませんが、ちょっと専門的な職種の研修で何度もシミュレーションをやらされたことがあります。そこには、まずありえない「トラップ」が仕掛けられていて、それに気がつかないと、どうやったってうまくいきません。でも、それは事前に基本的な確認作業を確実にこなしていれば簡単に気がつくことであり、そこにルーティーンの作業の重要性を認識します。「訓練」とはそういうものなのだと思います。

そして、表裏一体でなければならないふたつの要素をもっとも明確に読み取ることができるのが、主要な登場人物の配役であり、キャスティングは本作成功の大きな部分を占めていたと思います。以下に主要な職種の配役を示し、その厳密ともいえる役割分担を分析してみます。

 職種\担当コメディシリアス 
 パイロット田辺誠一
(副操縦士)
時任三郎
(機長)
 
 CA綾瀬はるか
(新人CA)
寺島しのぶ
(チーフパーサー)
 
 グランド業務田畑智子
(グランドホステス)
田山涼成
(グランドマネージャー)
 
 整備士(なし)田中哲司
(ライン整備士)
 
 ディスパッチャー
(OCC)
肘井美佳
(無線担当ディスパッチャー)
岸部一徳
(オペレーションディレクター)
 


この中でも、パイロットとCAの2本柱における役柄の区別はもっとも明確であるとともに、その振れ幅の大きさもとてもわかりやすいものでした。田辺誠一さんの多少大げさな感情表現や小心者ぶりが笑いを誘うのも、綾瀬はるかちゃんの天然っぽさがそのまま生きてくるようなコメディエンヌぶりが光るのも、厳格な機長とチーフパーサーの存在があればこそのものだったと思います。また、この厳格なふたりの間で交わされる縦のやり取りは、シリアスかつリアリティを感じさせるものであり、作品の重石としての役割をさらに強固なものにしています。

OCCについては便宜上区別してみましたが、岸部一徳さんがコメディ・シリアス両面を演じ分けていた部分もあり、その点はさすがのベテラン俳優です。また、航空整備士にコメディ担当がいなかったのは見事なバランス感覚だったと思います。おっちょこちょいの整備士は存在そのものがシャレにならないし、それどころか自分の腕を過信している若い整備士を登場させることによって、航空機業界の最前線の厳しさを描写しており、むしろ整備士だけはリアリティを追及していました。

このように、それぞれの職種に応じた緻密な描写が本作の最大の特徴であり、矢口演出の真骨頂とも言うべきものです。明日はそのあたりの具体的なエピソードとその演出などについて触れていきたいと思っています。

(つづく)

記事:ハッピーフライト (中)


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Betty

こんにちは☆
わたしは、邦画をあまり観ない人なのですが><;
これから参考にさせて頂きます!!

by Betty (2009-11-17 12:10) 

ジャニスカ

よーじっくさん、kageさん、Bettyさん、nice!ありがとうございます!

邦画ならではの面白さに着目してレビューを書くようにしていますので、
参考になればうれしく思います。また遊びに来てください!

by ジャニスカ (2009-11-17 22:15) 

松戸 ネイルサロン

よろしくおねがいします。
by 松戸 ネイルサロン (2009-12-01 19:42) 

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