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釣りキチ三平 [映画レビュー]

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『釣りキチ三平』
(2009年 東映 118分)
監督:滝田洋二郎 脚本:古沢良太 出演:須賀健太、塚本高史、土屋太鳳、香椎由宇、渡瀬恒彦
          Official / Wikipedia / Kinejun          

2009110801.jpg
(C) 2009 「釣りキチ三平」製作委員会

原作のファンならば、本作における三平(須賀健太)の姉・愛子(香椎由宇)の存在は、大いに議論を呼ぶところだと思います。私は原作を読んだことがありませんが、三平の姉の存在を「釣り」というエッセンスを引き立てる要素と考えれば、一定の役割を果たしたのではないかと思っています。

映画化にあたって、「釣り」というものを今現在の価値観で再構築する作業は欠かせないものであり、都会と田舎の対立軸の中で描かれる「釣り」は、時代のニーズに見事に適合していたように思われます。三平の姉に思いっきり都会的ルックスの香椎由宇ちゃんというキャスティングは、都会を象徴する存在としてはぴったりだったし、そのことからも釣りを通して「都会と田舎の対比」を描くことが本作のテーマのひとつだったことは間違いありません。

そのあたりを念頭に本作の構成を振り返ってみると、前半はひたすら人物描写に徹底し、後半は「源流行」を通して大自然を描写するという実にムダのないすっきりした構成になっています。偉大な原作の映画化としては、テーマを絞ったことは最良の方策であり、田舎とその背景にある雄大な大自然が愛子の心境に変化をもたらしていくという図式はとてもわかりやすいものでした。

そんなテーマが象徴的に込められたシーンがあります。乗り気じゃないまま「源流行」に参加した愛子は、夜泣谷に到着しても「つまらない」と言ってヘッドホンで音楽を聴いていますが、ふとした瞬間に滝から落ちる水の音に心奪われます。このシーンにおける携帯音楽プレーヤーは「自然」の対極にある「文明の利器」であるとともに、現代の都会的な若者を象徴するツールだったと言えます。それを外すという行為には自然に傾倒していく愛子の心境の変化という意味づけができます。その後も岩魚のたたきをおいしそうに食べたりして、愛子は自然の恵みに魅せられていきます。

このシーンに代表されるように、本作では自然を描写するときに、「音」を巧みに使って表現していきます。たとえば、夜泣谷でキャンプするシーンは、本作のテーマである「都会と田舎のぶつかりあい」が露骨に表面化する重要なシーンですが、このシーンにおける虫の鳴き声の存在感はやりすぎじゃないかというぐらい際立っていました。このシーンで愛子は三平の「姉ちゃんは都会にいて本当に幸せなのけ」という言葉に屈して逃げ出してしまいますが、このやりすぎとも言える「虫の音」の存在は、都会っ子が大自然に屈したような印象を強調しています。

また、冒頭の釣り人たちとの競争のシーンや三平と魚紳さん(塚本高史)が出会うシーンなどは、漫画的な笑いのセンスをそのまま移植したようなコミカルな演出であり、「わかりやすい」滝田演出は健在でした。「おくりびと」の滝田洋二郎監督作品というふれこみが付きまとう作品ですが、コメディ路線も多く手がけている滝田監督のジャンルを問わない幅広い手腕が本作でも垣間見ることができます。

総合評価 ★★★☆☆
 物語 ★★☆☆
 配役 ★★☆☆
 演出 ★★☆☆
 映像 ★★☆☆
 音楽 ★★★☆☆


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