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わたしのグランパ [映画レビュー]

わたしのグランパ [DVD]

[ DVD ]
わたしのグランパ
( 東映ビデオ / ASIN:B00009YNID )

『わたしのグランパ』
(2003年 東映 113分)
監督・脚本:東陽一 出演:菅原文太、石原さとみ
          Official / Wikipedia / allcinema          

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(C) 2003 「わたしのグランパ」製作委員会

本作は、筒井康隆氏の原作を巨匠・東陽一監督の脚本で映画化ということで、正義感にあふれるおじいちゃん(グランパ)と孫娘の交流をさわやかに描いた魅力的な作品に仕上がっています。本作の演出面について云々言うのは、おこがましいので、今回は、実質本作がデビュー作となった石原さとみちゃんの女優としての魅力を書いていきたいと思います。

私が女優・石原さとみを初めてちゃんと認識したのは、NHKのドラマ『クライマーズ・ハイ(後編)』(2005年)でした。物語の終盤に登場するキーパーソンとも言える役でしたが、出番が少ないにもかかわらず、その存在感には強烈なインパクトがありました。このドラマには彼女の演技力の高さを認識するには、この1シーンでこと足りると言っても過言ではないシーンがあります。

新聞記者志望の女子大学生の役で、自分が書いた文章が読者投稿欄に掲載されて初めてその重みに気がつきます。その責任の重さを必死で受け止めようとする気持ちを、石原さとみちゃんは見たこともないような「大粒の涙」で表現します。当たり前ですが、そんな特殊な状況におかれることなんてありえないわけで、このシーンは、例えば「失恋をして涙を流す」などというシーンとは訳が違うのです。この複雑で特殊で難解な感情を完璧に理解し、完璧に表現した彼女は、当時18歳であり、どうしてそんな芸当ができるのかといえば、第一に豊かな想像力によるものだと思います。

本作において、石原さとみちゃんは各映画賞の新人賞を総なめにしていますが、本作の直感的印象を一言で言えば「天才少女現る!」であり、彼女の演技が高く評価されたのは至極当然のことだと思います。本編冒頭、今は亡きグランパを偲ぶという感情表現をメインとしたシーンから始まりますが、台詞はなくてもいきなりデビュー作とは思えない存在感を披露してくれます。

彼女の演技は、何かを伝えようとする意思の強さが前面に出るというよりも、目の奥にたたえる感情の奥深さがにじみ出ることによって表現されるような種類のものかもしれません。優れた「主役の存在感」というのは決して押し付けがましいものであってはならず、その役柄が我々の気持ちに自然と入り込んでくる、あるいは我々の気持ちが自然とその役柄に入り込んでいくというような種類のものでなければならないと思います。ちなみに「脇役の存在感」ということになると、本作でヤクザの子分役を演じた光石研さんのように押し付けがましくなければなりません(^^;。

技術的なことを言えば、台詞の抑揚のつけ方がとてもうまい女優さんだと思いました。抑揚といっても舞台俳優のように大げさであってはならず、映画やドラマの場合、台詞に気持ちを込める作業が重要になってきます。彼女の台詞回しには台詞の中で観ている人にどれを印象付ければいいのかを理解した上で演じているようなクレバーさを感じます。『フライング☆ラビッツ』(2008年 東映)や『ヴォイス~命なき者の声~』(2009年 フジテレビ)では、かなり早口の台詞が多い役柄でしたが、的確な台詞回しと表現力でコメディエンヌとしての新境地を開拓しました。

余談ですが、小栗旬君が蜷川幸雄氏の舞台に出演してからというもの、舞台演劇的な抑揚を映画やテレビドラマに持ち込んでしまっているのがとても残念です。ちなみに本作にも出演している浅野忠信さんは、自然な台詞回しという意味では近年の俳優さんの中では卓越していると思います。

話は逸れましたが、石原さとみちゃんの演技力が折り紙つきであることは間違いなく、本作に始まる実績も十分かと思いますが、今ひとつ出演作に恵まれていない感は否めません。本ブログでも取り上げた『フライング☆ラビッツ』が初主演映画だったわけですが、彼女の女優としての奮闘も虚しく、レビューに書いたとおり演出その他の理由により駄作に終わってしまいました。

どうも彼女の出演作には、東映=テレビ朝日=ホリプロのラインが見え隠れしていますが、所属事務所の商業的論理が彼女が真の実力を発揮する弊害になっているとしたらこんなに残念なことはありません。


参考:石原さとみちゃんの受賞歴
 第28回 報知映画賞 新人賞(本作、2003年)
 第16回 日刊スポーツ映画大賞 新人賞(同上)
 第25回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞(同上)
 第46回 ブルーリボン賞 新人賞(同上)
 第13回 日本映画批評家大賞 新人賞(同上)
 第27回 日本アカデミー賞 新人俳優賞(同上)
 第41回 コールデン・アロー賞 最優秀新人賞(てるてる家族、2005年)
 第29回 エランドール賞 新人賞(WATER BOYS2、2005年)
 第29回 日本アカデミー賞 優秀助演女優賞(北の零年、2006年)

総合評価 ★★★☆☆
 物語 ★★☆☆
 配役 ★★★
 演出 ★★★☆☆
 映像 ★★★☆☆
 音楽 ★★★☆☆


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