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秒速5センチメートル [映画レビュー]

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秒速5センチメートル
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『秒速5センチメートル』
(2007年 コミックス・ウェーブ・フィルム 63分)
脚本・監督・原作:新海誠 出演:水橋研二、近藤好美、花村怜美
          Official / Wikipedia / allcinema          

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(C) Makoto Shinkai / CoMix Wave

冒頭からアニメーションとは思えない写実的なカットが連発しますが、その完成度の高い美しい映像はもっとじっくり見ていたいと思わせるものでした。それにもかかわらず、ひとつひとつのカットがあまりにも短くて、出し惜しみしないところは本当に贅沢な作品だと思います。実写で言うと、たとえば2秒のカットなら、単純にリアルタイムで2秒間カメラを回せば撮影できるわけですが、本作の場合、2秒のカットにどれだけの時間をかけているのかを想像すると、1秒たりとも目が離せません。

新海アニメの製作現場のドキュメンタリー番組を見たことがありますが、そのようなカットはすべてロケハンをした上で、実景写真から起こしているそうです。ロケハンから始まる「絵作り」は実写映画と同じですが、構図をそのままに時間や天候、あるいは強調する被写体などを思い通りに作りこめる所がアニメーションの利点です。

わかりやすく言えばマジックアワーじゃなくてもマジックアワーを映像化できるわけで、それは実写映画におけるCGなどを使用したVFXにも通じるところがありますが、その「絵」が醸し出す温かみややわらかさといったものは、アニメーションの方が格段に優れているのは明らかです。実写映画の監督にすれば、こんなにうらやましいツールはないでしょう。そんな映像の美しさに対して、本作の「物語」をトータルで見ると、どうも感情移入しにくい内容でした。

第一部の『桜花抄』については、誰もが経験する「初恋」の別離を描いているし、その切ない情感がとてもうまく表現されていたと思います。東京と栃木という近いようで遠い微妙な距離感に「雪」というファクターが加わることで、その距離感の切なさをさらに際立たせています。それでも出逢うことができた二人の気持ちが重った上での前向きな別れは、とてもさわやかなものだったと言えます。

しかし、第二部の『コスモナウト』以降の主人公の鬱屈(うっくつ)した人物像には、誰がシンパシーを感じることができるんでしょうか。本作の主人公は、ちょうど片山恭一の小説『世界の中心で、愛をさけぶ』の主人公を彷彿とさせます。あの「美しい初恋」が彼の人生に永遠に陰としてつきまっとっていくなんていうことがあるんでしょうか。我々が一般に経験した「初恋」は、実らなかったとしても、永遠に少年時代の淡い思い出として、むしろ我々の人生に彩(いろどり)を添えてくれているはずです。

「あの恋」のせいで3年間付き合った彼女と別れ、仕事も辞めて、どういうわけか絶望の淵に立っていた主人公が、桜の下で初恋の人とすれ違って、ようやく新しい自分の道を歩みだした?というのはなんだかよくわからない話です。山崎まさよしさんの『One more time,One more chance』という名曲のおかげで、なんとなく物語がまとまった感がありますけど、冷静に振り返ってみると主人公に感情移入するポイントがまたっくありません。

そんな中で、第二部で主人公に恋をする澄田花苗の存在は、本作中でもっとも等身大の女の子として描かれており、この物語の救いとなっています。サーフィンで初めて波に乗れた日に想いを伝えようとするけれど、相手が自分とは違う場所に立っていることを思い知り、自然と涙があふれてくるというのは、本作の主人公とは対照的に、とても人間味のある女の子として描かれていたと思います。彼女の恋も実らなかったわけですが、主人公とは違って、彼女はこの恋を人生の彩りに変えることができるはずです。

そのシーンに登場するロケットの打ち上げの絵は、ひとつのクライマックスとも言える美しさで描かれており、このシーンを強烈に印象付けています。種子島を舞台のひとつにしたのは、製作者の宇宙への憧憬も関係していると思いますが、実写映画では到底実現不可能な究極の演出だったと言えるでしょう。

総合評価 ★★★☆☆
 物語 ☆☆☆
 配役 ★★☆☆
 演出 ★★★☆☆
 映像 ★★★★★
 音楽 ★★★★


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