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イエスタデイズ [映画レビュー]

イエスタデイズ デラックス版 [DVD]

[ DVD ]
イエスタデイズ デラックス版
( ジェネオン エンタテインメント / ASIN:B001Q2HO3W )

『イエスタデイズ』
(2008年 エスピーオー 119分)
監督:窪田崇 脚本:清水友佳子 主演:塚本高史、國村隼、和田聰宏、原田夏希
          Official Wikipedia / allcinema          

2009100301.jpg
(C) 2008 YESTERDAYS FILM PARTNERS

本作のプロットを振り返るとき、浅田次郎の小説を原作とした『地下鉄(メトロ)に乗って』(2006年 ギャガ=松竹)を思い出さずにはいられませんが、 本作では主人公が過去に行き着く過程と方法を抑えた演出で表現しているので、とても感情移入しやすい作品となっています。

『地下鉄に乗って』では、昭和39年という時代の街並みを再現したセットやVFXが話題になりましたが、本作では32年前という「時代」を描写するに当たって、大掛かりなセットや手の込んだCGを使用することはありません。当時住んでいた「部屋」と「レストラン」などの閉鎖的なセットだけでも十分に説得力のある表現ができています。

本作の時代表現においては「昭和の女」を演じた原田夏希ちゃんの存在も多大に貢献していました。ヘアメイクなどの見た目の表現は我々が感情移入しやすいものにアレンジされていましたが、女性の社会進出が今ほど進んでいなかった時代の女性が持つ、謙虚さや慎ましさといった奥ゆかしい雰囲気を見事に醸し出しています。それは、我々の母親の世代の女性ということが言えるわけですが、彼女の32年後の姿として高橋惠子さんが登場した瞬間、二人の存在が即座に結びついてしまうところに彼女の表現力が確かなものだったことが認められます。

また、そのことにも関係してきますが、本作では現在と32年前の同一人物を描く際に、容姿や雰囲気が似ている役者さんをキャスティングすることによって、説得力を持たせることに成功しています。いちばん説得力があるのは『優駿 ORACION』(1988年 東宝)や『美味しんぼ』(1996年 松竹)のように実際に親子関係にある役者さんをキャスティングすることですが、通常はプロデューサーにその想像力とキャスティング力を動員してもらわなければなりません。

『世界の中心で、愛をさけぶ』(2005年 東宝)で行定勲監督が森山未來のキャスティング理由について「(大沢たかおに)似てるから」と言ってましたが、その点だけはどんな演出を駆使しても表現しきれるものではないということだと思います。以下、本作の主要な登場人物を演じた俳優さんです。

   (32年前) (現在) (親子)
 柳田昭彦和田聰宏國村隼柳田聡史塚本高史
 柳田節子柳沢なな風吹ジュン    
 真山澪原田夏希高橋惠子    

このうちもっとも出番が少なかったのが柳沢ななちゃんですが、登場した瞬間に我々は若かりし主人公の母(風吹ジュン)であること確信してしまいます。これって単純なことですけど、どんなに手の込んだ演出よりもずっと大事なことで、ビジュアルで瞬時に伝わってくるものほど説得力のある描写はないし、なにより観客の気持ちが途切れないことが重要です。

 柳沢ななさん
(20歳当時)

2009100303.jpg
風吹ジュンさん
(30歳当時)

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※あえてよく似ている画像を探してきたということも否定できませんが・・・(^^;。それにしてもジュンさんキレイです。27年前の写真集の表紙です。

そして、本作のテーマは、父親の生き方に反発していた主人公が父親の過去に触れることによって余命わずかの父親と気持ちの邂逅(かいこう)を果たすというところですが、絶対に交わることがないと思われた二人の考え方が重なるまでがとても自然に描かれていきます。

このとき重要なのは、我々観客を、主人公と父親それぞれの生き方や考え方がどちらも理解できるし、あるいはどちらも理解できないという中立な立場に置いているということです。

たとえば、主人公が父親が経営するファミリーレストランで「まずい」からと言って注文をしないシーンがありますが、これ自体かなり極端な描写です。その一方で友人の槇村茜音(中別府葵)が、子供の頃から親子いっしょにファミレスで食事をすることが憧れだったと話すことで、主人公とはまったく違った価値観を提示し、観客の気持ちは中立を保つことができます。

さらに過去の父親が真山澪(原田夏希)に別れを告げるシーンでは、父親がウソをついていることが我々にはなんとなく判ってしまうところも絶妙な演出でした。その直後に主人公は澪を抱きしめてしまうわけですが、ここでも観客だけが主人公が父親と同じ人を好きになったことに気がつきます。

そして、ラストに向かって主人公の気持ちが我々がいる中立地点へ「鞘寄せ」していくわけですから、主人公の180度とも言える気持ちの転換を我々は自然なものとして受け入れることができるのです。

総合評価 
 物語 ★★★★
 配役 ★★★★
 演出 ★★★☆☆
 映像 ★★★☆☆
 音楽 
★★★★


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