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きみにしか聞こえない [映画レビュー]

きみにしか聞こえない [DVD]

[ DVD ]
きみにしか聞こえない
( メディアファクトリー / ASIN:B000V5BJB8 )

『きみにしか聞こえない』
(2007年 ザナドゥ 107分)
監督:荻島達也 脚本:金杉弘子 出演:成海璃子、小出恵介
          Official / Wikipedia / kinejun           

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(C) 2007 「きみにしか聞こえない」製作委員会

本作は、離れた場所にいる二人がテレパシーで会話し、想いが通じ合うというファンタジー映画で、「スローラブストーリー」というコピーが相応しい作品となっています。本作のように非科学的な現象をテーマとする作品を観るとき、その現象が発現する科学的根拠を探したがるのが人間だと思います。本作の場合、そのあたりに深く踏み込んだ描写があったわけではありませんが、かと言ってまったく無視して強引に物語が進んでいくわけでもありません。

私の場合、『機動戦士ガンダム』シリーズの「ニュータイプ理論」の極めて科学的な設定をよく知っている世代なので、感覚が研ぎ澄まされる環境に置かれている人間ならば、テレパシーというのもあながちあり得ないことでもなく、少なくとも荒唐無稽と一蹴するような話ではないと思っています。したがって、本作の世界感を理解し、感情移入していくためには、テレパシーを通わす主人公二人が生活している日常環境の描写があるだけで十分だったと思います。本作の設定を非科学的だとして感情移入できない人がいるとしたら、その人は想像力を欠いていると同時に物事を楽しむ能力も欠いたかわいそうな人です。

友達がいない高校生リョウ(成海璃子)は、過去のある出来事から周囲とコミュニケーションを取ることに臆病になっており、クラスみんなが持っている携帯電話に憧れながらも、誰からもかかってこない携帯電話を持つことに虚しさを感じています。物語は彼女が拾ったおもちゃの携帯電話が鳴り出すところから動き出します。そして、その電話の相手は耳に障害を持つシンヤ(小出恵介)で、話すことができないはずの彼の声がリョウにだけ聞こえてくるのです。

このテレパシーが描かれるとき、リョウはおもちゃの携帯電話、シンヤは壊れた携帯電話を持っているわけですが、それはきっかけに過ぎず、それ以降はすべて彼らのイメージの中で会話が成立していきます。この物理的なものから観念的なものに移行していく描写のおかげで、我々はこの物語において重要とも言える導入部をすんなり受け入れることができます。

そして、気持ちを通わす二人が存在する世界に1時間のタイムラグが存在するところが物語の終盤に重要な要素となってきます。この時間の概念というのは丁寧に描いていかないと映像では伝わりにくいものですが、やはり終盤のクライマックスシーンでは少し混乱してしまいました。時間差を印象付けるシーンとしてリョウがシンヤに「流れ星」の存在を教えるシーンがありましたが、こういうことなら時間差をもっと大げさに強調するシーンがあってもよかったと思います。

そのクライマックスシーンですが、リョウが1時間のタイムラグを利用して、あらゆる手段でシンヤを助けようとするくだりはよくできていたし、その甲斐なく結局まったく同じ状況が繰り返されるという徒労感にも切なさが際立ちました。演出的にはその繰り返される状況をまったく同じ絵を使って繋いでいるにもかかわらず、本来話すことができないシンヤの声が聞こえるだけでまったく違うシーンに見えるとともに、2度目の手話によるラストメッセージが強烈に印象付けられます。このシーンでは時間差という要素があるだけにスローモーションが効果的に使用されていますが、本編全体を通じてもスローモーションの使い方がとても巧い監督だと思いました。

また、リョウが同じくテレパシーで会話する原田さん(片瀬那奈)の存在も、終わってみると物語に奥行きを出しており、我々にいろんな想像の余地を残してくれます。

成海瑠子ちゃんは、『あしたの私のつくり方』(2007年 日活)に続いて周囲とのコミュニケーションの取り方に悩みを抱えた高校生の役でしたが、この種の役柄を演じるのは易しいものではないと思います。本編では国語の授業で朗読をするシーンが3度ありますが、その演じ分けに注目してみるのも面白いと思います。15歳にしてこういう難しい役ができてしまうと逆に役柄の幅が狭くなってしまうのが心配ですが、おそらくどんな役でもこなしてしまう天才肌の女優さんだと思います。映画向きの女優さんであることは言うまでもありません。

また、小出恵介君は、個人的には大好きな若手俳優のひとりです。本作のように善良な好青年の役というのが多いですけど、それに加えてインテリジェンスを感じさせる雰囲気が彼の武器だと思います。それがドンピシャでハマったのが『初恋』(2006年 ギャガ)の犯人役だったと思いますが、今後は善良さを切り捨てた悪役をやってみても面白いような気がします。

総合評価 ★★☆☆
 物語 ★★☆☆
 配役 ★★☆☆
 演出 ★★★☆☆
 映像 ★★★☆☆
 音楽 
★★★☆☆


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コメント 3

no_nickname

成海璃子ちゃんは天才だと思っています。
by no_nickname (2010-07-16 04:45) 

評価^^;低いですね・・・・。

ちなみに途中で読むのをやめました^^;
ストーリーの前半部分のみ^^確認したかったので・・・
見たいという気持ちが強くなりました。

たぶんみるでしょう^^みたいという気持ちにさせて
いただいたというのが本音です。

小出さんは結構自分の中ではお気に入りの役者
さんですので・・期待かな?

評価が低い理由が何なのか?
みてから・・またここに来たいと思います。
あぁ^^なるほどか・・・
いや・・違うと思うかは
自分の気持ちしだいかなw

すごくいろいろな・・映画やドラマ
観ていらっしゃいますね

正直すごいと思いました。
でわでわ^^/ 失礼いたしますね~☆
by 評価^^;低いですね・・・・。 (2011-01-20 11:12) 

ジャニスカ

私はこの映画について高い評価をしたわけではありませんが、決して低くしたつもりもありません。
むしろ私が好きなタイプの映画です。
それは本文を読んでいただければわかると思います。
ご覧になりましたら、是非とも再訪くださいませ。。。

by ジャニスカ (2011-01-20 22:18) 

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