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雪に願うこと [映画レビュー]

雪に願うこと プレミアム・エディション [DVD]

[ DVD ]

雪に願うこと プレミアム・エディション
( ジェネオン エンタテインメント / ASIN:B000H7ZWXQ )

『雪に願うこと』
(2005年 ビターズ・エンド)
監督:根岸吉太郎 脚本:加藤正人 主演:伊勢谷友介
          Official / Wikipedia / allcinema
          

 2009090201.jpg
(C) 「雪に願うこと」フィルムパートナーズ

競馬ファンとしては是非観たい作品でした。本作は、ばんえい競馬の厩舎という特殊な仕事を描いています。競馬を題材とした邦画といえば『優駿 ORACION』(1988年東宝)が思い出されますが、観客を泣かせるエピソードだけをピックアップして、宮本輝氏の原作が力点を置いていた競馬という業界のリアルな描写を捨て去ったことから、駄作に終わってしまいました。

描く対象が特殊であればあるほど、リアルな描写にこだわらないと、それ以外のエピソードでどんなに泣かせようとしても説得力がなくなってしまうものです。しかも本作では「ばんえい競馬」という競馬ファンでも馴染みの薄い世界を描いており、丹念な取材と協力者の存在が不可欠だったと思います。

いかなるテーマを訴えるにしろ、本作が成立するためには競馬関係者にリアリティを持たせることが重要でした。競馬に関係する人々を大雑把に挙げると、調教師、厩務員、騎手、オーナー、競馬専門誌記者、競馬ファンなどです。このうちの「競馬ファン」を担う人物が冒頭に登場します。

競馬素人丸出しの主人公にしつこく話しかけてくる素性不明のおじいちゃん(山崎努)ですが、こういう人って地方の競馬場には本当によくいます。私もかつて大井競馬場に通っていた頃には、よく話しかけられたものです。一度でもうなづくと話が止まらなくなるので、無視するんですけど、最初は随分と話を聞かされました。

私は、このおじいちゃんが登場した時点で、本作は競馬をよく知っている人が作っていることを確信し、大きな期待を持ちました。そして、調教師役に芸能界屈指の競馬ファンである佐藤浩市さんと来れば、こんなに説得力のあるキャスティングはなく、期待しないわけには行きません。

すべてが馬を中心に廻っている厩舎に生きる人々の生活というのは、決してスマートなものではありません。私は、1週間ほど住込みで牧場を見学させてもらったことがありますが、人間よりも馬が優先という生活というのはそう簡単に馴染めるものではありませんでした。

序盤に早朝の調教終わりの朝食のシーンがありますが、賄いのおばちゃんの存在といい、体育会系の食卓といい、そこでやり取りされる会話といい、馬に生きる人たちの生活を表現するには余りあるシーンとなりました。あんなにキレイな賄いのおばさん(小泉今日子)はないですけど(^^;。

また、細かいところですけど、主人公が渡された厩舎での仕事着が全然カッコよくありません。あのブルーのウインドブレーカーなんて有名メーカーのまがい物っぽいものでダサいんですけど、カッコつけて仕事してしていない彼らの身なりとしてはピッタリでした。主人公が東京へ帰る日にそのウインドブレーカーをきれいに畳んで返すシーンがありますが、それは兄の仕事に対して芽生えた尊敬の念だったんだと思います。

そして主人公は、そのような厩舎での生活を通して自分を見つめなおし、心の洗濯をします。自分が世話をしたウンリュウのレースをあえて見届けないところに主人公の気持ちの変化が読み取れます。それは勝ち負けよりもどう生きるかに人生の意味を見出し、これまでの自分の生き方を清算しようとする決意の表れだと思います。

主人公の生き方を変える出来事は、全然ドラマチックなものではありません。馬と馬に生きる人々が、ただそこにあっただけです。本作は「そこにあるもの」のありのままをとてもリアルに描写することで、物語の本筋に説得力を持たせることに成功しています。

総合評価 ★★
 物語 ★★★★
 配役 ★★★☆☆
 演出 ★★★★
 映像 ★★★☆☆
 音楽 
★★★☆☆

※このレビューは、私がYahoo!映画のユーザーレビューに投稿したものをより多くの人にご覧頂けるように加筆・修正して転載したものです


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